絶対零ド

□絶対零ド
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第十五話―葛藤―















皇になるよ、ラクス。





僕は、君を皇にはさせない。






愛してるから、皇にはできない。








恨まれても、かまわないから。









次の皇は僕だよ。














――――――







皇になる、ですって?






血も、名も、資格も、皇に必要なものを一つも持っていないあの男が、すべてを持っているラクス様を差し置いて?








なんの冗談よ。












「……ぅ、ん」








「――殿下」












熱のせいで苦しそうに荒い呼吸を続けるラクス様を、一人にすることはできなかった。




お母様からはほどほどにと、言われているけれど、放っておけない。









ラクス様の“ヴァン”として生まれ、幼い頃からそのための教育を受けてきた。







ラクス様のお立場上、会いに行くことは敵わなくて、ずっとずっとお会いするのを夢見てた。














お母様に、記憶もない赤ちゃんの時に一度だけジュリアナ様とラクス様にお会いしたことがあると、聞いていて、その時の記憶を必死に思い出そうとさえした。
















わたくしやお母様がラクス様に直接会いに行くのは危険すぎるから、部下を通して、お手紙ぐらいしかやり取りができなかった。













お母様は、わたくしの顔がラクス様とそっくりであると聞いてからは、鏡と睨めっこしながら、まだ見ぬラクス様を想った。
























「っは……は」









「ラクスさまっ」















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