§Secret§
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「どうなさいましたの?」
「…ラクスちゃん」
ぼーっと突っ立てたミーアの前に、いつの間にかラクスが立っていた。柱に寄り掛かりながら、微動だにしなかったミーアを見つけたラクスは、アイリと別れて下のフロアまで降りてきていた。
長い睫毛に縁取られた、自分より青い瞳を眺めると、ミーアは、ゆっくりと頭を振る。
「なんでもないの。ちょっと考えゴトしてたの」
「そうでしたか。ミーアちゃんらしくないので心配しましたわ」
優しい笑顔。
私はこの笑顔を守ってあげたい。
この笑顔が苦悶に歪んでほしくない。
「ひっどーい!私だって考えゴトの一つや二つくらいあるもんっ」
「まあ」
ラクスちゃんに何か言ってあげたいのに。私は何か言う権利を持ってないから、いつも通り、仲良しの従姉妹でいるしかない。
「では今度、ミーアちゃんの相談にのらせてくださいませ」
ぱあぁとミーアの顔が輝いた。
「それって、ミーアとデートしてくれるってこと?!」
「久しぶりですわね、ミーアちゃんとのデート」
「やった!じゃあ今度お休みが一緒の日ね。やくそくっ」
ミーアの顔から曇りが消え去ったのを見届けると、ラクスはいつものように微笑んだ。
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