月無夜

□月無夜
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『ラクス、起きられる?』








学校を終え、クライン邸に戻ったミーアは直ぐさま自室に入った。








ベッドの上には、青白い顔で横たわるラクスが。



ミーアは自然と眉根を寄せてしまう。












『お粥作ってもらったわ。食べれそう?』







瞼すら開けられないのか、ラクスはベッドの上にぐったりと横たわるだけ。










『好き嫌い言ってないの!鮑粥くらいなら食べれるでしょ』













ミーアはサイドテーブルに器を置くと、ラクスの耳にある赤月晶に手を伸ばした。















『霊力、少し分けるわ。そしたらちょっとなら動ける』









ミーアの耳に着けられた赤月晶が淡く光ると、ラクスの耳の赤月晶も光る。光りがおさまると、ラクスはゆっくりと瞼を開けた。












『申し訳ありません、お姉様』








上半身を起こしたラクスは、ミーアからお粥を食べさせて貰う。
















『ラクスにこうやってあげるの、久しぶり』













『わたくしがお姉様にして差し上げることが多かったですもの』













『モデルは結構寒い格好するの』












青白かった顔色は少し赤みがさし、ミーアは笑みをこぼす。












『さあ、もう寝て!赤月晶に霊力吸い取られてるんだから、無理しないでよ』















器を下げたミーアは、ラクスをベッドに戻し布団をかけ直す。
















『ありがとうございますわ、お姉様』













ミーアに頭を優しく撫でられ、ラクスは微笑んだ。













『早く元気になって』








『すぐ元気になりますわ』













ミーアに分けてもらった霊力が赤月晶にすべて吸い取られたのか、ラクスはゆっくり瞼を閉じていった。













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