月無夜
□月無夜
3ページ/7ページ
『ラクス、起きられる?』
学校を終え、クライン邸に戻ったミーアは直ぐさま自室に入った。
ベッドの上には、青白い顔で横たわるラクスが。
ミーアは自然と眉根を寄せてしまう。
『お粥作ってもらったわ。食べれそう?』
瞼すら開けられないのか、ラクスはベッドの上にぐったりと横たわるだけ。
『好き嫌い言ってないの!鮑粥くらいなら食べれるでしょ』
ミーアはサイドテーブルに器を置くと、ラクスの耳にある赤月晶に手を伸ばした。
『霊力、少し分けるわ。そしたらちょっとなら動ける』
ミーアの耳に着けられた赤月晶が淡く光ると、ラクスの耳の赤月晶も光る。光りがおさまると、ラクスはゆっくりと瞼を開けた。
『申し訳ありません、お姉様』
上半身を起こしたラクスは、ミーアからお粥を食べさせて貰う。
『ラクスにこうやってあげるの、久しぶり』
『わたくしがお姉様にして差し上げることが多かったですもの』
『モデルは結構寒い格好するの』
青白かった顔色は少し赤みがさし、ミーアは笑みをこぼす。
『さあ、もう寝て!赤月晶に霊力吸い取られてるんだから、無理しないでよ』
器を下げたミーアは、ラクスをベッドに戻し布団をかけ直す。
『ありがとうございますわ、お姉様』
ミーアに頭を優しく撫でられ、ラクスは微笑んだ。
『早く元気になって』
『すぐ元気になりますわ』
ミーアに分けてもらった霊力が赤月晶にすべて吸い取られたのか、ラクスはゆっくり瞼を閉じていった。
.