月無夜

□月無夜
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第二夜《逢ノ夜》






「やっほーラクス。…逢いたかったよ」






―4年前―








『キラっ!!』





『りょーかい』








勢いよく突っ込んで来るカテゴリーCを静かに見つめ、手が触れるか触れないところで素早く刀を鞘から抜き去り、居合でカテゴリーCの身体を一刀両断した。











『ふぅ』








キラはチャキンと音をたて刀を鞘にしまうと、雑魚の相手をし終わった母親、ヴィアのもとに駆け寄った。










『父さん、終わったかな?』






『‥そうね、もうカテゴリーCが出てこないところを見ると終わったみたい』










カテゴリーCはカテゴリーBなどの端っこ、つまり残留思念とものが集まったもの。








本来ならば、固まるものではないはずなのだが、彼らを大いに影響を与えるもの、カテゴリーAやBといった存在が現れると増幅し、大きな塊へと変わっていく。













『行ってみましょ』








ヴィアは退魔一族、陰陽師の装束を翻し、大きな霊力がある場所を迷わずに進んでいく。















『お腹空いたかも』









樹海の木々の間を走り抜けながら、そうぼやくキラにヴィアは優しく微笑んだ。




















『とーさん』







キラの父ユーレンは、カテゴリーBとの闘いため、キラたちから離れたところにいた。














『おわっ…た?』





キラは父親に進めていた足を止め、目を見開いた。





大きな霊力はユーレンの霊獣、ヒビキ家に代々伝わって来た黒刀に宿る紫王のもの。







しかしそこにいたのは紫王だけではなかった。紫王は紫がかかった龍であるが、も確かにもう一匹そこにいた。












神々しく輝く、朱い、聖なる守護神獣、朱雀。












『す、朱‥雀』









キラは目を見開き動揺を隠せなかった。





退魔一族といっても聖獣を操る者はごく一部。






そして、朱雀は四神の一匹にも数えられ、いくら退魔士といえども操ることは不可能。










しかし、たった一つ気になったのは朱雀が“片翼”だということだ。










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