It is caught in white

□Gelosia
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 翌朝。

 神田が食堂に行くと、アレンの姿があった。
 相変わらずの、食欲旺盛振りで頬を膨らませてモリモリと食事をしている。
 空になった皿がどんどん積み重なって行く様子に、やはり昨夜のアレンの様子がいつもと違っていたのは気のせいだったのかもしれないと思った神田は、お決まりのメニューをオーダーして出来上がるのを待つ。

 その間もさりげなくアレンに向けられている瞳は、とても穏やかなものだった。

「はい、神田ちゃんお待たせ〜。つか、アンタ!もっと食べなきゃダメじゃない」

 しかも今日は朝から蕎麦なんてっ!と、ジェリーはブツブツ言いながらも出来上がった料理を神田に差し出す。
 無言で受け取ると、神田はアレンの隣の空席に座った。
 モゴモゴを口を動かしていたアレンは神田に気付くと慌てて咀嚼して呑み込み、口の周りに米粒を付けたままニッコリ笑った。

「神田、おはようございます」
「飯粒付いてる」

 横目で見ながら指摘して、神田は蕎麦を食べ始める。

「あははっ…」

 アレンは照れ笑いしながらそれを取ると口の中に放り込み、ついでに目の前の炒飯の皿に手を伸ばした。
 それから二人は暫し食事に没頭し、食べ終えていた神田は未だ食べ続けているアレンの様子を頬杖付きながら何気なく見ていて、ふと気付く。

「おい、モヤシ」
「……っ、何ですか?」
「おまえ…首、どうしたんだよ?」

 シャツの襟の隙間から見える首周りには、白い包帯が巻かれていたのだ。
 アレンは一瞬、表情を変えてまるで隠すかのように包帯を手で覆う。

「やっ…これは、大した事じゃないんですよ。気にしないで下さい」
「ンだよ…? 任務でやっちまったのかよ?」
「あ、まあ…そうなんですけど。じゃ、僕、先に戻りますね」

 と、言うや急に立ち上がり、まだ食べ終えていない皿まで片付け始め、そそくさと席を離れて食堂から出て行ってしまった。
 その素早さに、神田が口を挟む間も無かった。
 アレンが出て行ってしまった後、神田は手元の湯呑みを見つめながら考え込む。

――何なんだ? モヤシめ。 

 やっぱり、アレンの様子がおかしい。

 冷め切った緑茶を一気に飲み干し、神田も席を立った。
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