It is caught in white

□Gelosia
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「お帰り、神田くん。お疲れ様ね」

 日付か変わる数時間前に任務から戻って早々にコムイに報告書を提出した神田は不機嫌丸出しで、眉間に皺を寄せて唇を歪める。

「これで二回連続“ハズレ”だ。いい加減にして貰いてェもんだな」

 と、一言告げると身を翻し指令室を後にした。


 足早に回廊を歩き自室に引き上げて寝てしまおうと思った矢先、自室のドアの前に人影を見つけた。
 回廊に灯されているのは薄暗い照明だったがその光は柔らかく白銀の髪を照らしていて、立っているのがアレンだと少し離れた位置からでも一目で解る。

「モヤシ」

 神田は吊り上がっていた柳眉の角度を少しばかり変化させ、アレンの前に立った。

「神田、お帰りなさい」

 神田の姿を認めたアレンは寄り掛かっていたドアから身体を浮かすと、神田にニッコリ笑いかける。

「……ああ」
「疲れてるでしょう? 今夜はゆっくり休んで下さいね。じゃあ、僕はこれで」

 と、アレンは着ている団服の襟元を掻き合わせるようにキュッと掴むと、そそくさと立ち去ってしまった。
 それこそ、神田が返事をする間も無く、まるで逃げるような態度だ。

「……何なんだ? アイツ」

 ドアを開け自室に入った神田は、アレンの行動を理解出来なくて首を傾げる。
 アレンが立っていたのは、自分に“お帰りなさい”と言う為だと、それは解る。
 いつもの事だ。
 しかし…いつもと違うのは、神田の部屋に立ち入らずにそのまま立ち去ってしまった事である。

 任務であれば、それを神田に告げるだろう。
 だが、アレンは何も言わずに立ち去った。
 
 どうせ考えても解らないし、アレンにはアレンの予定や事情があるのだろう。そう思った神田はそれ以上は深く考えずにいた。
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