短編@

私に惚れなさい
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「上条さぁー」
目の前で美女と激突なんて素敵ハプニングを終えた上条に、私はぽつりと提案してみる。
「私に可愛い女の子紹介してよ」
「お前まさかっ」
「先に言っとくけど、そういう趣味はないからね」
「似たような生活に刺激を求めてとかじゃなくて?」
「誰もそんな危険な刺激は求めとらんわ」
「じゃあ何でだよ」
「上条知り合いに可愛い女の子いっぱいいるじゃん」
例えば、常磐台中の御坂さんとかインデックスちゃんとか吹寄さんとか。他にも私が知らないだけで沢山いる筈。
常日頃から何かと女の子と出会っている上条は消して不幸やない!むしろある種の幸運を持って生まれたんやぁ!!とは、ロリコン軍曹こと青髪ピアスの言葉だ。
そう、つまり上条当麻は気が付けば女の子に囲まれている。しかも上条に好意を抱いてそうな子ばかりに。上条に好意を抱く内の1人としては、これは決して油断できる状況ではない。
「紹介っつっても、別に特別仲がいいとかじゃないし」
「そうなの?」
「メアドも御坂のを知ってるぐらいだし」
「む、それは強敵な」
「しかも何でか御坂の母親のメアドまで知ってんだよなー」
「親公認?!」
「どうした?」
なんて事でしょう。御坂さんてば既に上条に親を紹介してるだなんて……
「と、取り敢えず私に御坂さんを紹介して!」
「?」
そんな子犬みたいな目で見ないで頼むから。まるで私が悪者みたいじゃない。い、いや、もし2人が恋仲ならそら応援した方が……で、でもライバルに容赦情けは禁物……けど!
「つーかさ、御坂と知り合ってどうすんだ?」
上条の声にぐるぐる混乱していた思考が正常に作動する。
そうだ、私御坂さんに会ってどうするの?
「御坂さんを私に惚れさせる?」
「何故疑問系」
それは混乱しているからで、
「御坂惚れさせて何かあんのか?」
それは上条から意識を逸らしたいからからだけど、上条本人にはとてもじゃないけど言えない。っていうか、そもそも惚れさせる相手を間違ってるよ、私。
「何もない」
「アイツ元々女子校だから難しいと思うぞ」
「痛い所ついてくるね、上条」
これは本格的に無理な気がしがしてきた。
この作戦は没だな。それにちゃんと正面から正々堂々戦うべきだ。幾ら戦略といえど、ズルはよくない。
うん。
よし!
ひとまず今の私がやるべき事はまたもや美女とぶつかりそうになってる上条を、衝突コースから連れ出す事。
「こら上条!ふらふらしない!」
「うおっ」
「あんまり人とぶつからないようにしないと」
「おう」
「あ、あとメアド教えて」
鈍感な上条を振り向かせるには、少し強引にいこう。
「急だな」
「いいから、教えなさい」
ま、どういう事かと言いますと、



私に惚れなさい
って事で。
絶対だから覚悟しててよね。



























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