三国小説
□熱
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兵練が一段落した昼休み、1人の武将がふらふらと廊下を歩いていた。
(や、やっと着いた…)
午前の兵練から少し熱があることは自覚していたが、まさかここまでになるとは…
と、昼過ぎになって心身ともにへろへろになった太史慈は呉城の自室へと着いた途端、寝台に倒れてしまった。
完全な風邪である。
午後にも兵練の予定が入っていたが、部屋に帰る途中で陸遜に代わって貰うよう頼んだ。心置きなく寝られる。
本当なら自分の家(楊州)まで帰りたかったが、正直そこまでもつ自信がない。
(とにかく寝よう…少し寝れば楽になる…)
そう決心して目を閉じようとしたその時
「大丈夫か?子義ちゃん」
「…………」
嫌な声が聞こえた。
閉じかけた目を無理やり開く。
見れば寝台に横たわった自分のすぐそばにいつの間に入ったのか、孫策が立っている。正直このタイミングで最も会いたくない人物がよりにもよって目の前に。