三国小説

□朱色の光
1ページ/8ページ

「陸遜ー!」

戦場で、俺は陸遜を探していた。戦場と言っても人は殆どいない。戦の勝敗が決したばかりだからだった。俺が居るのが戦場のほぼ中央付近であることも要因の一つだろう。

辺りはたまに岩があるくらいの平地。騎馬が喜びそうな地形。大戦相手も運悪く騎馬単だったが結果はうちのデッキの圧勝。特に陸遜はいつもより気合いが入っていた……より酷かったという意味だが。
一騎打ちも当然のように起こし、珍しく勝っていた。相手は張遼だった。

「はっ!鬼神が聞いて呆れる。ああ、立てないのですか?たかが軍師如きの力で?」

地に平伏した張遼。それを足蹴にする陸遜。張遼は聞いているのかいないのかピクリともしない。それでも気にせず陸遜が続ける。

「無様ですね。仲間の方々はきっとがっかりしてますよ。だってあなたが軸のデッキでしょう?こんな、非力な軍師に負ける武将に一体どんな言葉を掛けられるのでしょうね?…聞いてるんですか?」

そこまで言った陸遜が張遼の頭を蹴った。
鉄が仕込まれたブーツは流石に効いたのか張遼が少し身を捩る。が、やはりまた動かなくなった。完全に意識がなくなったことを俺も陸遜も感じていた。

「僕を侮った、あなたの負けです。」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ