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□ヒルまも30 (10/6up)
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「ねぇ、こんな事して蛭魔さんに怒られないかな?」
「何今更言ってんだよ」
「最初に賛同したのテメェじゃねぇか!」
「フゴッ!!」
弱気な僕の言葉に、次々にツッコミの言葉が被さって来る。
「はは…。そうだね」っと、曖昧にその言葉に返事をして、部室の中を覗く事に集中する。
何でこんな事になっているのかと言えば、
「部活が終わったらさ、妖兄達の事覗いてみない?」
鈴音のこの一言が発端。
その場に居た、僕、モン太、小結君、十文字君、黒木君、戸叶君、瀧君、それに発案者の鈴音と言う、デビルバッツの一年メンバー勢揃いと言った顔触れで、部活後の部室を覗く事になった。
部室の中では、データ整理をするまもり姉ちゃんの姿。
もう、この光景はデビルバッツの中ではお馴染みで。
僕を含めたメンバー全員が、何の疑問も持っていなかった。
でも、蛭魔さんの定位置であるカジノテーブルの一角にはその姿はなくて。
その姿を求めて視線を巡らせていると、カジノテーブルに突っ伏して眠る蛭魔さんの姿にぶつかった。
余りの光景に言葉を無くす僕の目に、次に飛び込んで来たのは、そんな蛭魔さんを心配そうに見つめるまもり姉ちゃんの姿だった。
蛭魔さんは眠ると言っても、ほんの数分。居眠りと言うのにも満たない時間で直ぐに目を覚ました。
目を覚ました蛭魔さんは、まもり姉ちゃんの制止を振り切って、データ整理を始めた。
そんな蛭魔さんの姿を見つめるまもり姉ちゃんは、本当に心配そうで。
マネージャーとして、蛭魔さんの側に居る機会が多いからなのか、もっと他の気持ちが含まれているのかは、僕には解らないけれど。
「疲れない訳ないよね…」
「そうだね」
鈴音の呟きに、同意の返事をする。
更に鈴音は、独り言のような呟きを続ける。
「まも姐…すごく心配そう」
そう呟く鈴音の方が心配そうで。
僕は、まもり姉ちゃんよりも、蛭魔さんよりも、鈴音の事が気になってしまった。
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