ノート2

□ひな祭り
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「雛祭り?」

「そ」

銀時が言ったのは3月1日…

「で?なんで俺?」

体は女になったままだが、だからと言って嫁に行くなんざ考えちゃいねぇ

「いや、でもゴリラがね」

真選組の紅一点となった(非常に不服)俺の為に宴を開くとかなんとか…

「な…なんで、副長の俺が知らねぇんだ?」

「え?……あちゃー…言っちゃ不味かったのか……」

「いや…それ以前の問題で、喜ぶと思うか?…俺が」

「ん……まぁな…
でもゴリラも飲む機会が欲しいだけなんじゃねぇの?」

確かに近藤さんは、ああいった政が大好きだ
仕事がいくらあったって、その日は隊士達の仕事を休ませて宴を開く

その分俺に皺寄せがくるわけだが……

「んじゃばらし次いでにもう1つ言うわ」

まだ何かあるのか?と頭痛がした

「3月3日から8日まで…日曜日だな、その日まで俺んちにお泊まりらしいよ」

「はぁ?誰が?」

「土方くんが」

だから銀時が知ってるって事か…

「俺の貞操の危機についてはどうでも良いのかよ…」

ちょっと泣きたくなってきた


ピンポーンという音にも気付かず項垂れる俺の横を通り、銀時がハイハイと玄関
に駆け寄る

「万事屋の旦那、ちょっと良いですか?」

「何?」

「これ…よりお預かりです…宜しく頼みますよ」

「………んっ」

短く返事をして客人を返す…言葉の端々を拾うと、どうやら山崎だったらしい…
言葉ははっきり聞こえず、ただぼんやりと聴いていた

玄関から歩みよりながら、ビリビリと紙を破る音が聞こえる

「…お」

「あ?」

「土方くん、朗報です」

「はい?」

「旅館のチケットを貰いました〜!ヤフー!!」

紙っぺらを2枚ピラピラさせながら掲げるそれに目を見張る

「な…どういった事だ…」

「ん〜歌舞伎町にいたら嫌でも帰ってくるとゴリラが踏んだだろうね〜
こりゃゴリラは本気で土方くんを休ませたいらしいよ?」

にんまりと笑みを浮かべながら言う銀時に不穏を寄せる

絶対嘘だ…

近藤さんが俺に働かせ過ぎっていう意思はあるだろうけど、そこまで考えれる脳
味噌は持ってない(失礼だと思うけど)

銀時が絶対一枚噛んでる筈だ

だって笑みが黒い!!

「3月3日は屯所で飲み会で、その足で列車に乗っていい旅夢気分か〜〜〜」

ああ…頭が痛い…
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