main
□どちらを取るかは貴方次第
1ページ/1ページ
「ね、私のこと嫌い?」
そう涙目で言ってくる彼女に吐き気がした。彼女、と言っても付き合ってる訳ではない。ただ単に名前を呼びたくないからここでは彼女と呼ばせてもらう、ただそれだけのこと。
「嫌いじゃ」
「なんで、ねぇっ!なんで!?酷いよ!光っ、酷いよぉ!」
「触んなブス!」
腕を掴まれた。嫌や嫌や気持ち悪い。腕を振り払うと、大袈裟に倒れ込んだ。
「お前なんか死んだら良いんや」
そう吐き捨てて、彼女から立ち去った。
次の日、朝から全校集会。1時間目の古典は嬉しいことに潰れた。
「昨日、この学校の生徒の1人が、自ら命を断ちました」
普段はおちゃらけてる校長が、えらく真剣に言った。
ふ、と、あいつかと頭の中に過ぎったが、不思議と罪悪感は感じなかった。
その証拠に、俺は今声を上げて笑っている。
珍しく、光が笑ってた。
私に死ねと言った光が笑ってた。
やっぱ、もし私が死んでも悲しんでくれへんのや、そう思って、昨日自ら命を断った生徒に黙祷した。
(0621)