長編
□画面を挟んだ糸
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第2話
「不二、誰と話してんのかな。」
「あの子じゃない?たまに不二と話してる女の子。」
皆は知らない。
僕の電話の相手が、僕の愛読書のヒロインだってことに。
彼女の名をかたった誰かじゃないのかって?
本人なんだ。
物語の中で、彼女は言ってくれた。
テニスの好きな違う世界の男の子と、話をしてるって。
しかも彼女はたまに、僕の目の前に現れるんだ。
あの物語を読んでから、時折感じる切なさとあたたかさ。
まさか、僕の携帯が勝手に発信をした相手が彼女なんて。
08.03.17 10拍手達成