BASARA夢

□小十郎、絶体絶命
2ページ/11ページ


「一人たりとも無駄死にはさせねぇ!それが伊達の流儀、そして政宗様のご意志!」

「片倉様…」

「筆頭…」



小十郎が六爪を投げ、それは松永の手前の階段に突き刺さった。



「そいつは一度くれてやる」

「片倉様!」

「いけねぇっす!」

「伊達の魂を、そんな野郎に!」

「その上で俺と勝負しろ!俺が買ったら人質と刀、改めて両方返して貰う!てめぇも武士なら…」

「…ふっ」



笑い出した松永に、小十郎の表情が険しくなった。



「ふふふふ、座興にはなろう。しかし足りんな」

「くっ…」

「残念だが二つの宝が揃わぬ限り、いかなる交渉にも応じかねん。それに私は、差出人を竜の牙と要求したのだが…」

「伊達が差し出せるのはそれだけだ!武田の鎧が欲しけりゃ、甲斐の虎に掛け合うこった!それに、今伊達に竜の牙なんざいねぇ!!」

「は、やはり武田も兄等を一時的に受け入れた所で、家宝を差し出すまでの事はしないという事だ」



人質を返す気がない松永に、小十郎が刀に手を掛けた時だった。





「待った待った待ったーーッ!!」



大声と共に走り寄って来た真田幸村に、小十郎は目を見開いた。



「武田が家宝ならばここに有りもうす!」

「真田…!」



背負っていた箱を下ろし、幸村は松永を見た。



「某は真田源次郎幸村!親方様の名代として馳せ参じた!」



紐を取り、蓋を開けて鎧を見せた。



「これぞ、我が甲斐・武田に伝わる楯無鎧!間号事なき本物!しかと改められよ、松永久秀殿!」

「ほう…」



箱から鎧を出し幸村は自分達の前に鎧を置いた。


.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ