BASARA夢
□小十郎、絶体絶命
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「一人たりとも無駄死にはさせねぇ!それが伊達の流儀、そして政宗様のご意志!」
「片倉様…」
「筆頭…」
小十郎が六爪を投げ、それは松永の手前の階段に突き刺さった。
「そいつは一度くれてやる」
「片倉様!」
「いけねぇっす!」
「伊達の魂を、そんな野郎に!」
「その上で俺と勝負しろ!俺が買ったら人質と刀、改めて両方返して貰う!てめぇも武士なら…」
「…ふっ」
笑い出した松永に、小十郎の表情が険しくなった。
「ふふふふ、座興にはなろう。しかし足りんな」
「くっ…」
「残念だが二つの宝が揃わぬ限り、いかなる交渉にも応じかねん。それに私は、差出人を竜の牙と要求したのだが…」
「伊達が差し出せるのはそれだけだ!武田の鎧が欲しけりゃ、甲斐の虎に掛け合うこった!それに、今伊達に竜の牙なんざいねぇ!!」
「は、やはり武田も兄等を一時的に受け入れた所で、家宝を差し出すまでの事はしないという事だ」
人質を返す気がない松永に、小十郎が刀に手を掛けた時だった。
「待った待った待ったーーッ!!」
大声と共に走り寄って来た真田幸村に、小十郎は目を見開いた。
「武田が家宝ならばここに有りもうす!」
「真田…!」
背負っていた箱を下ろし、幸村は松永を見た。
「某は真田源次郎幸村!親方様の名代として馳せ参じた!」
紐を取り、蓋を開けて鎧を見せた。
「これぞ、我が甲斐・武田に伝わる楯無鎧!間号事なき本物!しかと改められよ、松永久秀殿!」
「ほう…」
箱から鎧を出し幸村は自分達の前に鎧を置いた。
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