BASARA夢
□小十郎と畑
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「さっきのは、お前の父親の言葉だ」
「―――え?」
小十郎の言葉に、紫苑は驚いたような顔をした。
「まだ軍に入り経ての頃、畑で作業しているお前の父親を見てな、その頃から俺は畑に夢中になっていたな」
懐かしそうに話す小十郎だが、紫苑の顔色は浮かなかった。
「あの人は立派な人だった。政宗様のお父上にお仕えし、伊達家の安息を―――」
「違うッ!!」
大声を上げた紫苑に驚いて彼女を見ると、紫苑の膝に乗っていた拳は、強く握られていた。
「あの人は…あの人はそんな人じゃない…小十郎様だって解っているでしょう!?」
「俺は納得していない。それに輝宗様も」
「あれ以外にどんな理由があるのですか?」
紫苑は立ち上がり、小十郎に背を向けた。
「私の意志は変わりません。私はあの時、輝宗様に誓いました」
振り返り、鋭い目で小十郎を見た。
「生涯、伊達家にお仕えすると」
→後書き