BASARA夢

□風来坊登場
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その頃、小十郎は。



「何の用だ?前田慶次」



門前で腕組みしながら、小十郎は目の前にいる慶次を睨んでいた。



「そんな怖い顔すんなよ竜の右目、ただ涼みに来ただけなんだ「帰れ」



慶次の言葉を最後まで聞かず、小十郎はスッパリと断った。



「そんな寂しい事言うなって、数日だけでいいから居させてくれよ、な?」



頑なに粘る慶次に小十郎はもう一度帰れと言いかけた時、背後から名を呼ばれて振り返った。



「紫苑」

「こちらにいらっしゃいましたか、政宗様が…あら、お客様ですか?」

「客じゃねぇ、こいつは「お!綺麗な姉ちゃんがいるじゃねーか!」お、おい!」



紫苑の出現に、慶次は小十郎の横を摺り抜け、紫苑の手を取った。



「俺は前田慶次、こいつは夢吉、よろしくな、綺麗な姉ちゃん」

「前田様…ですか、私は紫苑と申します。どうぞよしなに」

「んな硬っ苦しいのは無しだぜ!それより、伊達にこんな別嬪さんがいるとは、何で黙ってたんだよ竜の右目!」



そう言って慶次が振り返った瞬間、小十郎は二人の間に入って紫苑を自分の背後にやった。



「テメェがそうやってちょっかい出すのが目に見えてるからだ」



鋭い目付きで睨む小十郎に慶次は苦笑いし、紫苑は黙って会話を聞いていた。


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