BASARA夢

□金の忍との出会い
3ページ/5ページ


「何かご用があったんですか?」

「………………は?」



忍は、本日二度目の言葉を口に出した。



「政宗様は戦に出て行かれましたから、小十郎様もお供で留守ですので…今この城には特に目立つ方はおりませんが…」



考えこむ紫苑に、忍は思わず小さく笑った。

「お前、変わった奴だな」

「そうですか?普通だと思いますが…それより忍さん」



「…かすが」

「え?」

「忍ではない、かすがだ」



名乗った忍、かすがの言葉に紫苑は目を見開き。



「名前を教えてくれてありがとうかすが、私は紫苑」



そう言って優しく笑った紫苑に、かすがは少し頬を赤くした。



「そうだ、折角いらしたんですし、お茶でも飲みませんか?」

「あ、いや、私は…」

「皆さんには秘密にしますから」



紫苑は粘りながら戸棚から茶菓子を出してかすがに渡し、茶を取ってくると言って部屋を出た。






パタパタ カラ



「かすが、お待たせ…」



茶を持って部屋に戻ったが、そこにかすがの姿は何処にもなく、机には畳まれた羽織りと、『また会おう』と書かれた紙が残されていた。


.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ