BASARA夢
□独眼竜対軍神 人取橋の対峙!
1ページ/7ページ
奥州に戻った伊達軍。だが彼等の表情はとても重く、政宗は小さく舌打ちした。
そんな中文七郎と孫が政宗の六爪、刀のない鞘に目を向けた。
「すいやせん、筆頭」
「摺上原で、どうしても六爪の残り一振りを見付けられなくて…」
「No problem。これだけありゃ上等だ」
鞘のみの刀に腕を乗せ、屋敷に入る政宗に誰も声を掛けれず、紫苑は静かに皆を見渡した。
「直ぐに出陣の用意を。政宗様の陣ぶれあるまで各自少しでも休むように」
『はい』
自分の傷や他の者を気遣いながら屋敷に入る兵達を見た後、紫苑も痛む右腕にそっと触れ、準備に取り掛かった。
一方政宗は自室に戻る事なく、真っ直ぐに小十郎の部屋に向かった。
あれは奥州平定の戦、人取橋での戦後。
+++
「政宗様!まだ動かれてはなりません!」
「うるせぇ!」
手当てを受けたばかりで出歩く政宗を止めるが聞かず、目的の部屋に辿り着き戸を開け、中にいる小十郎を睨んだ。
小十郎の前には短刀、それに息を飲んだ。
「小十郎様?」
「片倉様!」
「何のつもりだ、小十郎」
騒ぎを聞き付けた兵達も駆け付け、政宗は少し機嫌の悪そうな声をして小十郎を見下した。
.