BASARA夢
□敗北の竜、折られた牙。
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静まり返る摺上張。辺りには多くの兵達が倒れておる。
その中で一人、立ち尽くす政宗がいた。
「―――wake up…wake up guy's!」
そう叫ぶと伊達の兵士が次々と立ち上がり政宗の元へと寄って来た。
「筆頭…」
「筆頭…」
「筆頭!」
「All right。オメーらよくぞ生き延びた。一先ず奥州は取り戻したぜ」
『はい』
笑みを浮かべ政宗はそう言う。だが振り向いた政宗の切り裂かれた背中を見て兵達の心が痛んだ。
「筆頭…っ」
「ちくしょう…っ」
「筆頭の背中は…片倉様にしか護れねぇんだ…!」
悔しそうに文七朗達は呟くが、政宗はその事に触れなかった。
「戻って出陣の用意をする。目指すは大阪だ、豊臣を潰す。小十郎を連れ戻す序でにな」
『はい!』
振り返り言った政宗の言葉に全員で返事をし、数歩進んだところで背後からの気配に気付き、政宗は振り返った。
沈む夕日を背に見覚えのある影がこちらへと迫ってきていた。それに気付いた兵たちも騒ぎ始めた。
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