BASARA夢
□竜の右目と牙の帰還
1ページ/8ページ
捕らわれていた家臣達の無事に、政宗の六爪と楯無鎧を持ち、甲斐に戻る事になった。
その時。
ガシッ!
「紫苑、てめぇ…何故来やがった?」
紫苑の頭を掴み、小十郎は怒り気味になりながら質問した。
「政宗様も危ない、小十郎様も危ない。そうなった時が、私の出番だとお忘れですか?」
「政宗様の許しは取ったのか?」
「……………あら?」
ギリギリギリギリ!
「いだだだだだっ!!」
惚けた返答に、小十郎は握る力を強めた
「か、片倉様!」
「落ち着いて下さい!」
「姐さん痛がってます痛がってます!」
家臣達に止められてやむを得なく小十郎は手を放し、六爪を布に入れて抱えた。
「戻るぞ、もう夜明けだ。……紫苑」
「はい」
背を向けたまま、小十郎は言い放った。
「戻ったら政宗様から処罰がある。心しておけ」
そう言って歩き出す小十郎に、家臣達は心配そうな面持ちで紫苑を見た。
「姐さん、処罰って…」
「じ、冗談っすよね。筆頭が姐さんに処罰なんて」
「きっとあるだろうね」
「「「えええっ!?」」」
小十郎の後を追うように歩き出した紫苑に家臣達は質問責めをし、その光景に幸村は呆然としていた。
「旦那も早く行ったら?俺様は一足先に戻って、無事を報せてくるよ」
「う、うむ。頼むぞ…」
吃りながらも佐助に返事を返し、幸村も楯無鎧を持ち、歩き出した。
.