BASARA夢
□小十郎、絶体絶命
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人質に取られた伊達の家臣達を助けに小十郎は政宗の六爪を持って松永の元に向かった。
その途中、三好の三人衆に道を阻まれ、対峙するが、その場に漂う毒に苦戦を強いられた。
なんとか勝利し、苦しみながらも進んだ先に、荒れた境内跡地があり、そこには一人の男性が立っていた。
「…松永久秀っ」
「ご機嫌よう、兄を待っていたよ。屍として運ばれてくるかと思ったが…侮ってはならないようだ」
「この片倉小十郎、伊達に竜の右目と呼ばれてはいねぇ!」
「…ふっ」
「!」
松永の背後を月明かりが照らし、暗くて見えなかった柱には、縛られている家臣達がいた。
「片倉様!」
「すいやせん、下手打っちまって」
「片倉様、ダメっす!俺達助かりてぇけど、筆頭の刀だけは!」
「直ぐに片を付ける!もう少しそこで待ってろ」
小十郎が背負っていた物に、松永は少し驚いていた。
「これは意外…本当に竜の爪を携えて来たのか」
「欲しがりやがったのはてめぇだろうが」
「独眼竜も奇特な男だ。たかが雑兵三人ごときに容易く宝刀を差し出そうとは…」
「そこらの軍と一緒にすんじゃねぇ、伊達には雑兵なんざ一人もいねぇんだよ!」
小十郎の言葉に、家臣達は息を飲んだ。
「だからこそ覚悟は出来てる者として、時には見捨てもする」
「そうか。では何故天下の皺勢危うく今、この様な粗末に捕らわれ、のこのことやって来たのかね?今こそ末端の一兵卒など見捨てる時だと理解するが…」
「知れた事、此処はそいつらの死に場所じゃねぇ。この戦国の世に徒党を組み打って出た以上、最後まで誰一人欠けずにいられるとは思っちゃいねぇ。ただ!」
背負っていた六爪を包んでいた布を捨て、刀を持った。
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