BASARA夢
□略奪の梟雄、双竜の勝負
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種子島を受け、傷を負い、熱に魘される政宗。紫苑は流れる汗を拭い、看病を続けていた。
そんな政宗を心配しつつ、庭で刀を振る小十郎の心配もしていた。
「…政宗様」
鍛練をしながら長篠での戦いの事を考えていた。
「この小十郎、お諌めする事もお護りする事も相成らず…その思いを常に重んじる事は…」
呟きながら刀を振るい、目の前の木の葉を散らし、側にある石の置物を斬った事にハッ、とした。
「まだ若い貴方様を、死に逸らせるだけなのかもしれませぬ…」
声を上げて刀を振る小十郎の元に、幸村が寄って来た。
「片倉殿」
「今しがた西の方から妙な物音が聞こえたようだが…」
「それなら、配下の忍隊が確かめに向かっている頃合いにござる」
「そうか」
幸村に向き直り、刀を納めた。
「心中お察し致す」
幸村の声に、うっすらと目を開けた。
「某とて、もしも目の前で親方様を…相手は無数の飛び道具。伊達殿の負傷、片倉殿に責めはないと存じまする。むしろ、伊達殿は我等の代わりに種子島を受けられたようなもの。織田の鉄砲隊は徳川を支援する手筈であったとの事にござれば」
「そんなもんは敵の腹一つでどうとでも変わる。戦場の爪だ…ただ」
「?」
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