BASARA夢
□惑う心中
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せっせと田植えに精を出す大人達、その傍らでぎこちない動きをしながら手伝う子供達。
そしていつもの様に手伝いに来た紫苑。だが彼女の表情は浮かなかった。
「お姉ちゃん、どうしたの?」
見兼ねた子供が紫苑の名を呼ぶが、彼女は黙ったままだった。
「紫苑お姉ちゃん?」
「え?あ、ごめんね。なにかあったの?」
「お姉ちゃんこそどうしたの?ぼーっとして」
その言葉に紫苑は考える素振りを見せるが、直ぐに笑顔を返した。
「なんでもないよ。さ、頑張って今日のお仕事を終わらせちゃお」
「うん!」
元気よく返事を返した子供の頭を人撫でして、再び田植えの仕事に戻った。
「お姉ちゃんバイバーイ!」
「また今度ねー!」
日が傾き出した頃、紫苑は先に城に戻り、子供達は帰る紫苑に手を振っていた。
紫苑も軽く笑って振り返し、考え事をしながら城に戻った。
『紫苑、お前は今回は留守番だ』
『政宗様?』
『今回やり合うのは織田だ。戦力は欲しいが城をがら空きにする訳にはいかねえ』
背を向け続けながら話す政宗を、紫苑は黙って見ていた。
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