BASARA夢
□伊達軍の日常
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奥州、伊達政宗が納める城は、今日も穏やかな日を送って
「政宗様ーッ!!」
いなかった。
大声で叫びながら主を探しているのは、竜の右目とも呼ばれている片倉小十郎。
「全くあの方は、執務を放って一体何処に…」
「あら、小十郎様」
辺りを見回して止まっていた小十郎を、一人の女性が呼び止めた。
「どうかなさいましたか?」
「紫苑、丁度よかった。政宗様を見なかったか?」
「政宗様?いいえ、見かけていませんが…」
小十郎を呼び止めたのは、伊達軍の女性医師、紫苑だった。
「まさかまた執務を放って…」
「ああ、もし政宗様を見かけたら知らせてくれ」
「私も探すのをお手伝いしましょうか?」
「いや、俺一人でいい。だが政宗様を見掛けたら逃がすんじゃねぇぞ。じゃあな」
小十郎はそう言って再び駆け出し、紫苑は小さく息を吐いて自室に戻った。
「政宗様も、小十郎様に怒られると解って何故逃げるのか…」
政宗の行動を考えながら自室に付き、襖に手を掛けた。