ワンピ短編集

□旅行するならどこに行きたい?
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夜の街を歩いていた。ただ、寂しくて。
心がズキズキ痛むので、絆創膏を貼りたいくらいだった。
人口の光が、私を非日常へといざなう。
人混みに紛れてしまうと、もう自分はいなくなった気がしてこのまま消えてしまえそうだった。
ふと、上空に何かが勢いよく飛んできて、当たりがざわめいて、私の視界はざわめいた人々を見下ろしていた。
『ドンキホーテ・ドフラミンゴ…』
空から飛んできた彼に抱えられて、また一緒に空を飛んだのだ。
人口の夜景の光に照らされて、ドフラミンゴのコートはギラギラ、オーロラのよう。
すごい速さで飛んでいって、ビルの光は流れ星のよう。
ギュッとされると、ピンク色のキラキラでフワフワしたものが私を優しくつつんだ。
冷たい夜風が肌を撫でていった。
目を閉じると、暗い青色のなかにビルの光と一緒に溶け込んでいって──────……
『どうして?』
「お前のビビった顔を見たかっただけだ」
『私……あなたと一緒なら怖くない』
「フッフッフッ……おれの事をよく知らないからそんな事が言えるのさ」
『……』
気がついたら、ビルの1番てっぺんにいた。
ちいさな宝石の様な夜景を見おろす私の隣にピンクのフワフワがいる。
「夜は危ないぜ。ま、おれみたいな悪者に攫われたいってんなら話は別だが… …冗談だよ!……いや、冗談で済ませといてやる…今回は、な!フフフフフ!」
そう言うと彼は飛んで行った。
フラミンゴは渡り鳥。ずっと一緒にはいられない。
あたたかい気持ちと、ほんのり切なさを残して消えた。

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