リクエスト品置き場
□主張の激しい二人
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「おい、買い物に付き合え」
「悪ぃな鰐野郎、楓はこれからおれとデートの約束があるんでな」
楓は困り果てていた。
つい先日七武海の召集があり、ちょうどその時に時間を持て余していた自分が会議中のお茶出しや資料の配布を行ったのだが、なぜかクロコダイルとドフラミンゴに気に入られてしまったらしい。
今もたまにこうやって遊びに来ては自分を挟んで喧嘩をするのだからどうしたものか。
「おれと来い」
「いいや、おれと来るよなァ?」
しかもタチが悪いことに、自分はこの2人のことが嫌いではないのだ。だってそうだろう。顔も悪くないし、金も持っている。権力もあって、悪いところと言えば海賊であることと性格に難があることくらいだ。性格に難があるのはデカイな……。ただ、顔は良い。だからこうして挟まれるのも悪くはないなぁなんて思っている自分もいる。
「えっと……」
誘われるのは嬉しい。とても。しかし自分はまだ勤務中であるし、なにより自分は海兵で海賊と仲良くしていていいものか分からない。それに、どちらかの誘いに乗るということはどちらかの誘いを断るということだ。結果何が起きるかわかったものではない。うかつに了承できるものでもないだろう。
「私、まだ仕事があるので……」
「そんなもの放っとけよ」
「なんならセンゴクにお前を借りていくと言っておけば良いだろう」
仕事があるという理由では断りきれなかった。上のさらに上の人を引き合いに出されては敵うわけがない。だからといって海兵と海賊が仲良くしては……と言っても、関係ないとかで一蹴されそうだし、悪ければ海兵を辞めろとか言われかねない。
「あの、お気持ちは嬉しいのですが……っ!?」
なんとか断りを入れようと視線を逸らすと、突然ガバッと抱き上げられてしまった。慌てて下を見れば持ち上げているのはドフラミンゴで、床までがものすごい高さになっておりひっと声が漏れた。
「仕方ねェ、3人でデートするか」
「ふざけんな」
「いって! 何すんだ!」
ゴッと鉤爪がドフラミンゴの背中にめり込み、鈍い音がする。その一瞬でクロコダイルは楓をドフラミンゴから奪い、自分の腕の中に収めた。
「誰がテメェとデートなんかするか」
「おい、人がせっかく譲歩してやったってのに」
「誰も頼んでねぇよ」
ぎゃいぎゃいと自分を奪い奪い返しを繰り返して喧嘩する2人に制止の声をかけるが聞こえていないのか全くやめてくれない。落とされる、なんてことはないと思いたいが、ここから落とされたら物凄く痛いに決まっている。猫じゃないんだから上手く着地も出来ない。
「やるか? フラミンゴ野郎……」
「やってみろよ」
「もうやめて下さい……」
楓の声は届かず、海軍本部で一部建物が破壊されるという事態が起き、しばらくの間楓への接触禁止令が下るのだった。
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