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□肩書き
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「さやか?」



「えっ!ゆうり!?」



「久しぶりやな笑」



「帰ってきたんやな!」



彼はゆうり。私の従兄弟にあたる。
留学から帰ってきたらしかった。





面と向かって会うのは4年振りとか。



小さい時はよく一緒に遊んでもらって。
でも男の子だから泣かされることもしばしばあった。







大きくなるにつれ、親戚で集まった時もあまり話すことはなかった。







ただ2人に共通していたのは人見知り。




座敷で親戚がご飯を食べたり話をしていても、私たち2人はリビングでテレビを見る、ということが多かった。



別に2人でどうこうというわけではなく、自然と2人になっていた。



2人でいても従兄弟ということもあり気まづくもなくただ黙ってテレビを見ていた。













歳は私の4つ上。私には姉がいて、姉と同い年。







春には高3になるという私と、社会人になる彼。







この日はたまたまおばあちゃん家に来ていて、ゆうりにばったり会った。









「さやか、ちょっと来て」



「あ、うん。」




なんやろ、お土産でもくれるんかな。そう思って彼に連れられて誰もいない空いてる部屋に行った。





「話があんねんけど」


「うん」








「俺、ずっとさやかのことが好きやった」


「、、、」


「いや、そりゃあぁ、びっくりするよな。
ごめん!!!」


「恋愛として、ってこと?」


「そう、小さい時からさやかのこと可愛いって思ってて。って、引いたよな、、?」


「ううん、嬉しい」




彼は何を言ってるんや。そして私も何を。。




「そりゃあ従兄弟やし、さやかが振り向かへんのはわかってる。でも俺、やっぱり好きやから。」



「わかんないよ、そればっかりは。」




今、振り返ると私にも多少たりとも恋愛的な好きがあったかもしれない。







「さやか、彼氏は?」


「おらへん」


「おったことは?」


「ない」


「ほんまに?」


「キスしたことない、手も繋いでへんよ」


「そっか」


「そういうの、興味ないねん多分」


「そうなんや、、」






「ゆうりは?」


「あるわけないやん」


「モテるやろ?」


「それは、まぁ多少は」





従兄弟は結婚できる関係。それは知っている。でも賛成してくれる人はいるのか。


子供が出来た時のいろんなリスクが大きいことも聞いたことがある。







「付き合って、とは言わへんから」


「なんで?」


「自信がない」


「ふーん」


「でも俺はさやか以外好きにならへんから」


「うん、でも早くしやんと誰かのとこ行っちゃうで?」


「それはあかん」


「なんやねん」


「うーん、なんていうかっ」


「ずっと、幸せにしてくれる?」


「あたりまえやん。」


「じゃあ別に『付き合う』っていう肩書きいらんのちゃう?」


「どういうことやねん」


「別に、恋人じゃなくても幸せやったら満たされへん?」


「俺はさやかといれたらそれでええけど、、」


「じゃあ決まり!恋人でも友達でもない!従兄弟よりちょっと上!」


「雑やな!」


「付き合うって別にただの口約束やと思うねん。
好きな人とキスして、デートして、あんなことやこんなことして、な?

まぁ、したことないけど、、。」


「俺と、する?」


「ゆうりがしたいならしてもええけど」




チュッ





「さやかの初めてもーらい!」



一瞬すぎてよくわからなかったけど、私はファーストキスとやらをしたらしい。従兄弟と。


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