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□天体観測 (お試し?)
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ガチャ


「さやかー。もう7時。遅刻するよー」

「ん、やば」

「もう僕行くね、起きてよちゃんと」

「はいはい、行ってらっしゃい」

「行ってきまーす」


ほんとに毎日申し訳ない。


早く仕事行かないと。












「おはようございます」

「愛梨おはよー」

「今日はちゃんと起きました?」

「ううん、今日も葵に起こしてもらった。。」

「あんまり無理しないでくださいね?
葵のためにも。」


わかってる、葵にこれ以上迷惑はかけられない。








「さやかさん、新規さんいらっしゃったんですけどお願いできますか?今から物件回りで。。」

「わかった、大丈夫。」




ふぅー。今日も昼食抜き、か。





「担当させていただく山本彩です。
よろしくお願いします。」


「太田です。よろしくお願いします。」


「一人暮らしですか?」


「あ、はい。今留学中であと1ヶ月で帰ってくるんですけど寮が空いてないって言われて、、」


「学生さんなんですね!!いい物件見つけましょう!」


「あの、、今日決めて、そこで寝ることって無理ですよね?」


「今日ですか!? あ、すいません。
いえ、出来はしますけどじっくり考えた方が。。」


「無理言って申し訳ないんですけど家探しのために急遽帰ってきて明日にはアメリカに戻らないといけなくて。。出来るならお願いしたいです」


「まず、希望する設備とかあれば教えて下さい!」


「できれば静かなところがいいです。
大学からの距離は遠すぎなければ大丈夫です。」


静かなところ。。
私の家付近、田舎だし静かだけど、不便すぎるよね〜

一応言ってみよ。



「あの、私が住んでるこの辺なんですけど·····」

写真を見せながら説明する



「星、見えますか?」


「晴れてれば年中見れますよ!私、子供と見てます!」


「お子さんいらっしゃるんですか?」


あ、なんか余計なこと言っちゃったな。
まぁ自慢の息子なんだけど。


「あ、はい。6歳の息子がひとり。」


「イケメンなんだろうなっ」


「何か言いました、、?」


「あぁ!何でもないです!すいません!」


小声でなんて言ってるかはっきり聞こえなかったけど、イケメンって言ったよね?
よくわかってる!!! っておい。


「でも車ないと厳しいですよ?」


「あ、バイクあります。帰ってきたら車も買う予定なんです!」



なんだ、お金持ちか。。



「あの、この会社って家建てることとか、リフォームもできるんですよね?」


「はい!それが御社の売りです!」



あー、将来はお婿さんをってことかな。
いや、さっきから何考えてるん自分!!

にしてもこの人綺麗なお顔!!



「いつか出来たらいいかなー」


「でも、一軒家に住まれるんですか?」


「私、宇宙関係の勉強してて荷物とか、まぁ望遠鏡とか多すぎて。。」


「へー!凄いですね!
うちの子宇宙大好きで宇宙飛行士になる!ってずっと言ってて!」


「えっ!会ってみたいなー!」


「物件行ったらちょうど学校から帰ってくるくらいだと思いますよ!」




そんなこんなで行ってみることになった







「あっ!いました!」

車の窓を開けて葵を呼んだ。

「あおいー!」



「あ!さやか!!」



「えっ、今さやかって、」


「あ、うちはママとかお母さんとか呼んでないんです。」



そうだよね。みんなは呼ばないか、名前で。




「ただいま!って、えっ??」


「こちらはお客さんの太田さっ、、」


「ゆうりさん!!」


「えっ、葵知ってるの?」


「あの!僕毎日投稿見てます!!」


「葵って、毎日コメントくれる、アオイ!?」


「何!?2人知り合いなの!!!?」




ちょっと情報が追いつかない。。笑





「えっとー、2人はどういうお知り合い、?」


「私サイトとかに頻繁に天体のこと載せてて、毎日のようにアオイって子が日本からコメントくれるんです。まさか会えるなんて!!!」


「さやか、ありがとう!!!
ゆうりさん写真撮ってください!」



「全然いいよ!!」



親ながらに考える。
葵は6歳。今どきの子は当たり前だと聞いてたからスマホとかタブレットとかは自由に使わせてたけども、、、


でもほんとに宇宙好きなんだな。。




って、もうこんな時間!!!




「太田さん、時間が、、」


「あっ、ほんとですね。」



葵が気になっていたようで、事情を説明した



「ねぇ!さやか!
ゆうりさんうちに泊まったらいいじゃん!」


「「えっ!?」」


別にうちとしては大丈夫だけど、太田さんに申し訳ないし。。


「ね!いいでしょ!」


「葵、うちはよくても太田さんの事考えてみて?」


「えー、ゆうりさん嫌?」



「山本さんがいいなら、、」


「えっ、」



「やった!決まり!
ゆうりさん行こ!!!」


葵がこんなに人に目をギラギラさせてるのは初めて見た。
いつも寂しい思いをさせてるのに、葵が大好きな人がお客さんとして来るなんて。
何かいい事したのかな。




2人が並んで歩いてるこの後ろ姿がなんだかしっくりきてて。


なんか親子?姉弟?みたいだなーって。


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