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□2人のクリスマス
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キラキラ光るイルミネーション。
流れ星のように見えるように速いスピードで通り過ぎるけど、それもまた幻想的で綺麗だ。



もうこんな季節か。クリスマス。



その辺のカップルさんは手を繋いでるけど、私はもっと大きい温かさを感じてる。


クリスマスだからといって何ら変わらない仕事終わり。



「迎え行くね、下で待ってる」




携帯の画面を開けば最愛の人からのメール

そのメールだけで一日の疲れが吹き飛ぶ。



「おかえり」



仕事を終えて急いでエントランスを出ると、笑顔で迎えてくれるあなた。


「ただいま」



今日は車じゃない。
ヘルメットを被ってネックウォーマーで口を隠すあなた。寒そうにしてるのもまた愛おしい。


「はい、彩ちゃんの!」


と言って私にもヘルメットを被せてくれる。



「寒いけどちょっと我慢してね」

「うん、ゆうり温かいから大丈夫」



ゆうりの背中に身を預ける。
私より大きい背中、私だけの温もり。




信号待ち。


「綺麗だね」

「うん」

「彩ちゃんが」

「何言ってんの」


ブブーン!


いつも優しいゆうり。




ガチャ

「ふー!寒かった!」

「今日はおでんでーす」

「もうちょっとクリスマスっぽいのなかったん?」

「え、嫌やった?」

「ううん、ゆうりらしいなーって。
私チキンとか食べへんし!」

「よかった〜」


私のために用意してくれる晩御飯。
いつも美味しい。



「今日な、常連さんがな!·····」


何の話をしてもうんうん、と目を見て聞いてくれる。どれだけ優しいんだろう。


「彩ちゃん、ケーキ食べる?」

「食べる!!」

「ちょっとはクリスマスらしい事しないとなって思って買ってきた」

「ありがとうゆうり」




「これ、ロウソク付いてんで」

「え、ほんとだ!フー!ってしたい!」

「ええよええよ」


そういうところまだ子供だなーなんて。
このギャップ反則すぎる。


『乾杯』



ゆうりも大人になったんやな。


「ねぇさやかたん!私の事好きー??」

「なにゆうり、もう酔ってんの!?」

「早く答えてよー!」

「好きだよ?」





バサッ!


座っていたソファーに仰向けで倒される。
酔っていたはずのゆうりがニヤッと笑って、

「私も好きだよ?」

なんて言うから、ゆうりの首元に手を置いて自分の方に抱き寄せてしまった。





ゆうりが首にキスする音が部屋中に響く





耳元で囁いた

「メリークリスマス」





どこで覚えたんやこんなこと。。


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