スマブラ!

□かなづち
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〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「あらあら。ソニックったら海に落ちちゃったわ〜」「でも場外に出た訳じゃないからすぐに復帰するわよ」

こちらは試合をモニターで見ているスマブラメンバー。

「……ぴか?」
「……ぺぽ??」
「……プリ???」

ソニックの運動神経ならすぐに海から復帰してくるだろうと思っていたメンバー。

だが、一向にソニックが復帰する様子がない。

「上がってこないですわ」「サメにでも食われたかしらね……」


「いや、姫さん達いろんな意味で観点がずれてるよ」「発想がグロいんだよ」

なんだかんだでソニックが上がってこないことを不思議に思うメンバー。


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俺はそんな悠長な状況じゃなかった。

ばしゃバシャ暴れれば暴れるほど身体が沈む。

その様子をさすがにおかしく思ったのか、マリオとトゥーンが不思議そうな顔をして「おーいソニック?まだ場外じゃないから復帰してこいよ〜」と叫ぶ。


このやろ、状況みて空気よめ!Help me!!

ばっちゃばっちゃやる体力もなくなって、沈む沈む。そのまま……

まあ言わなくてもわかるだろうからいわねえ。

俺のprideが許さねぇし。
あぁそうだよ、久々の最下位でした!
the lowest rank!!

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「ソニックって…」
「かなづち、なんだ…」
「意外だな〜。ね、スネーク…」
「……ほぉ。糞針鼠はかなづちなのかそうかそうか………」

モニター画面の前ではスネークがニヤニヤしている。はっきりいって子供組からすれば不気味で危ないおじさんだ。

(絶対なんか企んでるよね…)

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乱闘が終了して(ほんっとに最悪だったよ畜生)すっかり冷えた四肢。

身体をタオルで拭いていると、試合を見ていたメンバーがやって来て。

「大丈夫でしたかソニックさん」
「珍しいなー。お前が最下位なんて(ボリボリ)」
「泳げないんだったら言えばよかったのに〜」

なんて声をかけてくれる。ただなんか皮肉っぽく聞こえるのは俺の気のせいか?なんか聞いてると無性に悔しくなる。

その前にニンニク食うのやめろやワリオ。

でも一応心配してくれているみたいだから、てきとうに返事を返して、今はメンバーそれぞれ自分の個室に戻っている。

俺はしばらく大広間にいてボーっとしていた。するといきなりドアがゆっくり開いた。

「………Who are you?」
「俺だ」

入ってきたのは段ボール愛護団体会長、スネーク。

俺は舌打ちして顔をしかめる。なんでこいつが来るんだよ。

「…何の用だよ」

負けて悔しいこともあるが、相手が相手だから俺の声はいつもより低くて、不機嫌ですよオーラ全開だ。

「今日の試合、残念だったな」

やっぱりな。そういう話題で来るだろうと思ったぜ。
「余計な心配ありがとな。俺は大丈夫だから、さっさとでてけよおっさん」

「お前がかなづちだとは…意外だな」

このやろう話スルーしたな今。

「…あのな、人の話を……
「誰にでも苦手なことはあるものだと改めて感じたな」

再びスルー。ああそうですかそうですか。スルーにスルーですか。

「ああそうだよ!!俺は泳げませんよ!
I can't swim!
I am a hammer !!」

無視しまくりのおっさんに俺の何かが切れて、かなりの大声で叫んでいた。

おっさんも少し驚いた表情になる。はっ、間抜け面め

おっさんに背を向けて自分の個室に戻ろうとした。

その時、右腕を強く引っ張られた。

「…っ、なんだよおっさん!!」

「………すまない」

いきなり謝罪。ああもうなんなんだこの段ボール愛護団体会長さんは!

「そこまでかなづちということを気にしているとは思わなかった、すまんすまん」

あのー、なあんかこっちが惨めに思えるんですが。しかもおっさん、なんでニヤニヤしてんの。え?

「しかし別に気にすることでもないだろう。海があるステージなんて限られているしな、うん」

ニヤニヤしながら一人で納得してんじゃねーよ。

「ほれ」

おもむろに手にもってきた段ボールの中からなにかがでてきて。手渡されたのは温かそうなスープ。

「ピーチ姫お手製だ。飲めば暖まるだろう」

冷えている身体にピッタリだ。さすがピーチ姫。

「………Thanks」

「もっとでかい声で俺に礼をいえ針鼠」
「てめえにいってんじゃねーよ。ピーチ姫に対していってんだ」
「持ってきてやった親切なおじさんにはお礼のひとつもないのか」

だああ、うざってえ!なんだこの馬鹿らしいやりとり!

わかったわかった。お礼すればいいんだろ。

「…………おっさん、Thanks…………」

「聞こえないな、もう一度」
「二回もいうか糞野郎」

そんなやりとりをしながらスープを口に運ぶ。

「どうだ」
「…Very delicious…!」
スープの香りが、この場の空気を少し和ませるような……そんな気がした。

(スネークがいってることも正しいっちゃあ正しいしな……)



後日の乱闘でおっさんが俺を海に沈めようとしたことは、いわなくてもわかるだろう。
(しかも口喧嘩すると決まって風呂場に連れていかれてバシャンだぜ?いい年してなにやってんだこのアホは…!!)
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