スマブラ!
□苦労人ならぬ苦労針鼠
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「マリオ、ソニックがまだ夕食を取りに来ていないの…なにかあったのかしら?」
時計は、10時を指している。もう子供達は寝に入りだす時間。
いつまで経っても夕食を取りに来ないソニックに疑問をもった、ピンクのドレスのお姫様。
「ソニックですか?」
マリオが返事をする。ピーチ姫にだけ敬語なのは彼の特徴だ。
「今日は朝から乱闘続きで、疲れた顔して部屋に入るのを見ましたが…」
あらあら、とピーチが呟きながら、顔を曇らせる。
「…でも、食事はきちんと摂らないと、体に悪いわ………マリオ、ソニックにこれ、持っていってくれないかしら」
そういって、美味しそうな料理がのったトレイを渡される。
さすがはピーチ姫だ。
分かりました、と返して、マリオはソニックの部屋に向かった。
ソニックの部屋に向かっているマリオ。
その時。
「ハーハッハッハ!こんばんはだな、マリオ!愛と正義のスマブラ界のハヤブサ、キャプテン・ファルコン登場!」
通路の奥から颯爽と現れたのはご存知の通り、(自称)スマブラ界のハヤブサ。
「(うわあ来たよこのオッサン…)グッドイブニングファルコン…なんでこんなところにいるんだ?」
「よくぞ聞いてくれたなマリオ!私が何故ここにいるかと言うと!!」
トイレに行くためだ!!
「…………」
「なんと素晴らしい理由だ……トイレは大事だぞ?!戦闘中にトイレには行けないからな!」
あまりにも馬鹿馬鹿しい理由に言葉を失うマリオ。
まあ確かにそうだが。
「マリオはなんだ!?そんな美味しそうなものを持っているとは…つまみ食いは感心せんぞ!」
「ヨッシーやカービィと一緒にするな!!」
マリオは事情を説明する。ファルコンはそれを聞くと鼻息を荒くして口を開く。
「なるほど!ならばこの私がソニックに届けてやろう!!」
トイレに行く道中にソニックの部屋を通るからな!と自信満々なファルコン。
「え、いいよ。悪いしさ」「遠慮するな!何せこのキャプテン・ファルコンが言っているのだからな!」
そう言って、マリオからトレイを受け取る。正確には強制的に奪いとった。
「……じゃあ、お願いするわ」
「任せろ!では漏れちゃうので失礼するぞ!」
マリオが何か言おうとした瞬間には、ファルコンは風になっていた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
こちらトレイ前。
たった今、用を足したスネークが出てきた。
そこに
あのおじさんは現れた。
「スネークぅぅぅう!!」「!?」
もの凄い形相でこちらに向かって来たファルコン。スネークはいきなりのことにぎょっとする。
「スネークよ!た、頼みがある!!」
「??」
足が忙しなく動いていて、どこかぎこちない動作をしながらスネークに言葉を紡ぐ。
「こ、の夕食、をソニックに届けて、くれぇ!!」
あぁもう我慢の限界だ!!とスネークにトレイを投げ渡し、バタンとトイレのドアを閉める。
「…おい、これはどういう……「言った通りの意味だ!スネーク、君はソニックの部屋と隣だろう!」
「…………」
「悪いが、ヒーローにもトイレタイムは必要不可欠!では頼んだぞ!!」
トイレのドアの奥から、ファルコンの笑い声が響く。
……結局、ソニックに届けざるをえなくなったスネーク。
渋々ソニックの部屋に向かう。
(なんで俺がよりによってあの糞針鼠に…)
ソニックの部屋の前で大きなため息を吐く。
ここにいつまでもいるわけにはいかない。
ノックもせず、がちゃりとドアを開けた。
…しかし、部屋は真っ暗。いつもはノリの良い音楽を夜遅くまで聞いているのに、CDプレーヤーの電源は切れている。
いつもと違う針鼠の部屋の雰囲気に少し違和感を感じながらも、暗い部屋に目を凝らした。
ベッド…布団が盛り上がっている。多分、ソニックが布団の中に丸まっているのだろう。
机に夕食を置き、ベッドに、慎重に歩いていく。
「………おい」
呼びかけてみる。が、返事無し。
「おい」
再度、少し大きめに呼びかける…が、結果は同じ。
スネークの眉間に皴が。
そこまで短気ではないスネークだが、相手が相手なだけに、イライラ。
ついに我慢の限界が訪れた。
「起きろ!!この糞針鼠!!」
ばっ、と布団を掴んで放り投げる。
中で丸まっていた針鼠の四肢が丸見えになる。
いきなり布団を剥ぎ取られた針鼠は、ピクリと身体を震わす。
「んん………」
スネークは針鼠の口に手榴弾を突っ込もうかと考えたが、少しずつ眼を開いたので、それは無しにしてやる。
「……んあ……」
「寝呆けるな針鼠」
まだ覚醒仕切ってないソニックは、少し間の抜けた声を出す。
「んー……なんだおっさんか……何か用?」
「何か用?じゃない、お前の夕食、持ってきてやったぞ」
もちろん俺の意思じゃない、トイレおじさん…否、ファルコンから頼まれたんだと、言葉を付け足す。
ソニックは、「食い物あるのにトイレやら何やら言うなよ」と返した。
「…悪ぃけど……いらねえ………」
「お前、これは多分ピーチ姫が心配して手配してくれたんだぞ?」
「……わかってるさ」
でも、今は気分悪ぃんだ。
よく見れば、半分瞳を閉じ、か細い呼吸をしていて、確かに疲れている様子が伝わってくる。
とろんとした瞳には、いつもの覇気が無い。
「…乱闘で300%越えたし、子供たちにはハンデつけられるし、もー疲れた」
ぐったりとベッドに倒れこむソニック。
「意外と苦労人だな(あぁ、苦労針鼠、か)」
「意外とってなんだよ……俺は俺なりに苦労してんだっての」
はぁ、と針鼠が盛大なため息。
「おっさんがいると余計疲れるしな」
「…ならば針鼠、俺がお前を過労死させてやろうか」
皮肉たっぷりの針鼠の言葉。それに対して言葉を返すと、針鼠は少しだけ笑顔になる。
「過労死なんてしないぜ。俺は、自由、なんだから」
閉じかけていた瞳が、今はしっかり開き、スネークを見ている。
「確かに乱闘やら、子供たちのハンデのいじめやら、おっさんの世話やらいろいろ疲れるけど」
「……(世話、とはどういうことだ)」
「そーいう方が、退屈しなくていいから、好きだぜ俺は」
(おっさんと話して、少しだけ元気になれたってことは、絶対に言えねぇよ!)
あとがき
なんかいきなり書いたので訳がわからん小説に。
オチが思いつかなくて……(これはひどい)
ソニックはスネークのこと嫌いだけど、自分の意見をぶつけられる相手だから、話していて何かと楽しい、と感じてくれてたらいいな、と(´ω`)
管理人の願望のかたまり