スマブラ!

□苦労人ならぬ苦労針鼠
1ページ/1ページ

「マリオ、ソニックがまだ夕食を取りに来ていないの…なにかあったのかしら?」

時計は、10時を指している。もう子供達は寝に入りだす時間。

いつまで経っても夕食を取りに来ないソニックに疑問をもった、ピンクのドレスのお姫様。


「ソニックですか?」

マリオが返事をする。ピーチ姫にだけ敬語なのは彼の特徴だ。

「今日は朝から乱闘続きで、疲れた顔して部屋に入るのを見ましたが…」

あらあら、とピーチが呟きながら、顔を曇らせる。

「…でも、食事はきちんと摂らないと、体に悪いわ………マリオ、ソニックにこれ、持っていってくれないかしら」


そういって、美味しそうな料理がのったトレイを渡される。
さすがはピーチ姫だ。

分かりました、と返して、マリオはソニックの部屋に向かった。



ソニックの部屋に向かっているマリオ。

その時。

「ハーハッハッハ!こんばんはだな、マリオ!愛と正義のスマブラ界のハヤブサ、キャプテン・ファルコン登場!」

通路の奥から颯爽と現れたのはご存知の通り、(自称)スマブラ界のハヤブサ。

「(うわあ来たよこのオッサン…)グッドイブニングファルコン…なんでこんなところにいるんだ?」

「よくぞ聞いてくれたなマリオ!私が何故ここにいるかと言うと!!」


トイレに行くためだ!!


「…………」
「なんと素晴らしい理由だ……トイレは大事だぞ?!戦闘中にトイレには行けないからな!」


あまりにも馬鹿馬鹿しい理由に言葉を失うマリオ。
まあ確かにそうだが。


「マリオはなんだ!?そんな美味しそうなものを持っているとは…つまみ食いは感心せんぞ!」

「ヨッシーやカービィと一緒にするな!!」


マリオは事情を説明する。ファルコンはそれを聞くと鼻息を荒くして口を開く。

「なるほど!ならばこの私がソニックに届けてやろう!!」


トイレに行く道中にソニックの部屋を通るからな!と自信満々なファルコン。


「え、いいよ。悪いしさ」「遠慮するな!何せこのキャプテン・ファルコンが言っているのだからな!」


そう言って、マリオからトレイを受け取る。正確には強制的に奪いとった。


「……じゃあ、お願いするわ」
「任せろ!では漏れちゃうので失礼するぞ!」

マリオが何か言おうとした瞬間には、ファルコンは風になっていた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

こちらトレイ前。

たった今、用を足したスネークが出てきた。


そこに
あのおじさんは現れた。

「スネークぅぅぅう!!」「!?」


もの凄い形相でこちらに向かって来たファルコン。スネークはいきなりのことにぎょっとする。


「スネークよ!た、頼みがある!!」
「??」

足が忙しなく動いていて、どこかぎこちない動作をしながらスネークに言葉を紡ぐ。

「こ、の夕食、をソニックに届けて、くれぇ!!」

あぁもう我慢の限界だ!!とスネークにトレイを投げ渡し、バタンとトイレのドアを閉める。


「…おい、これはどういう……「言った通りの意味だ!スネーク、君はソニックの部屋と隣だろう!」

「…………」
「悪いが、ヒーローにもトイレタイムは必要不可欠!では頼んだぞ!!」

トイレのドアの奥から、ファルコンの笑い声が響く。

……結局、ソニックに届けざるをえなくなったスネーク。

渋々ソニックの部屋に向かう。


(なんで俺がよりによってあの糞針鼠に…)


ソニックの部屋の前で大きなため息を吐く。

ここにいつまでもいるわけにはいかない。


ノックもせず、がちゃりとドアを開けた。

…しかし、部屋は真っ暗。いつもはノリの良い音楽を夜遅くまで聞いているのに、CDプレーヤーの電源は切れている。

いつもと違う針鼠の部屋の雰囲気に少し違和感を感じながらも、暗い部屋に目を凝らした。


ベッド…布団が盛り上がっている。多分、ソニックが布団の中に丸まっているのだろう。


机に夕食を置き、ベッドに、慎重に歩いていく。


「………おい」
呼びかけてみる。が、返事無し。

「おい」

再度、少し大きめに呼びかける…が、結果は同じ。

スネークの眉間に皴が。
そこまで短気ではないスネークだが、相手が相手なだけに、イライラ。
ついに我慢の限界が訪れた。


「起きろ!!この糞針鼠!!」


ばっ、と布団を掴んで放り投げる。


中で丸まっていた針鼠の四肢が丸見えになる。


いきなり布団を剥ぎ取られた針鼠は、ピクリと身体を震わす。


「んん………」


スネークは針鼠の口に手榴弾を突っ込もうかと考えたが、少しずつ眼を開いたので、それは無しにしてやる。


「……んあ……」
「寝呆けるな針鼠」


まだ覚醒仕切ってないソニックは、少し間の抜けた声を出す。


「んー……なんだおっさんか……何か用?」
「何か用?じゃない、お前の夕食、持ってきてやったぞ」

もちろん俺の意思じゃない、トイレおじさん…否、ファルコンから頼まれたんだと、言葉を付け足す。


ソニックは、「食い物あるのにトイレやら何やら言うなよ」と返した。


「…悪ぃけど……いらねえ………」
「お前、これは多分ピーチ姫が心配して手配してくれたんだぞ?」
「……わかってるさ」


でも、今は気分悪ぃんだ。
よく見れば、半分瞳を閉じ、か細い呼吸をしていて、確かに疲れている様子が伝わってくる。

とろんとした瞳には、いつもの覇気が無い。


「…乱闘で300%越えたし、子供たちにはハンデつけられるし、もー疲れた」

ぐったりとベッドに倒れこむソニック。


「意外と苦労人だな(あぁ、苦労針鼠、か)」
「意外とってなんだよ……俺は俺なりに苦労してんだっての」


はぁ、と針鼠が盛大なため息。

「おっさんがいると余計疲れるしな」
「…ならば針鼠、俺がお前を過労死させてやろうか」
皮肉たっぷりの針鼠の言葉。それに対して言葉を返すと、針鼠は少しだけ笑顔になる。


「過労死なんてしないぜ。俺は、自由、なんだから」
閉じかけていた瞳が、今はしっかり開き、スネークを見ている。


「確かに乱闘やら、子供たちのハンデのいじめやら、おっさんの世話やらいろいろ疲れるけど」

「……(世話、とはどういうことだ)」


「そーいう方が、退屈しなくていいから、好きだぜ俺は」


(おっさんと話して、少しだけ元気になれたってことは、絶対に言えねぇよ!)



あとがき
なんかいきなり書いたので訳がわからん小説に。
オチが思いつかなくて……(これはひどい)

ソニックはスネークのこと嫌いだけど、自分の意見をぶつけられる相手だから、話していて何かと楽しい、と感じてくれてたらいいな、と(´ω`)

管理人の願望のかたまり

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ