スマブラ!

□偽りの
1ページ/1ページ

何なのだ。

理解出来なかった。
なぜ、こうなった。


何が、どうなって


針鼠は、死骸となったプリムに、とどめの一撃をさした。プリムの四肢は吹き飛ぶ。彼の周りには既に血まみれで倒れている者が、何人、何匹といた。



指についた返り血をぺろりと舐め、針鼠はこちらに視線を向ける。


しかし、その瞳は
いつもの、鮮やかな、深緑の色ではなく、
血走って、敵意剥き出しのものだった。


殺意に、満ちた瞳。



「こんな雑魚、殺してもつまらねえな」


青い毛並みは、今は闇に染まった、深い黒。


「俺が本当に壊したいのは、人間さ」


針鼠は口の端を吊り上げる。
体からは、殺気が溢れている。



「お前、人間だよな」


いつもの彼より、声まで違う。

冷徹な、しかし怒りも含んだ、低い声色がよく響いた。


「…お前は、ソニックなのか?」


自分の思ったことを言葉にする。


「あぁ、正真正銘、ソニックさ」


青い毛色に、綺麗な深緑の瞳、それでいてムカつくぐらい余裕な態度。それが、俺の中のソニック。


しかし今はどうだ
殺気に満ちた、血走った瞳。闇を吸い込んだ黒い毛色。そして……


生き物を、人を、平気で殺める彼。



「だったら、いつものお前は何なんだ」


「さあな。ただ自分を抑えるための姿だったんじゃないのか?」



いつもの態度は、本当の自分を抑えるためのものだったのか。


内側に秘めた、あまりにも大きい力を抑えこむだけの、『偽り』だったのか。



「人ってのは、本当の自分を偽る生き物。それなのに、勝手に夢だの希望だの、くだらないものを追い続ける」


―そんなもの、壊してしまえばいい。


「そんなものがあるから、いつまでも人から『欲望』が消えない。無駄な感情を生み出す奴らなんて、生きてたってなんの意味もないだろ?」


だから、俺が根こそぎ、醜い奴らの命を、刈り取ってやるよ。



彼の瞳に迷いは無い。



どちらを、俺は信じる?
本当の『ソニック』は、
今の、殺伐とした、黒い針鼠か。


それとも、今まで見てきた、青い針鼠か。



どっちだ。




「人間ってのは、本当に無駄な感情を持つな」
「本当の俺がどっちか、迷ってるだろ?お前」



図星、だ。


「まぁどう思うかはお前の自由、だが」


「どっちが本当のソニックか、なんて疑問を抱いて、迷って苦しむぐらいなら」



俺がお前を楽にしてやるよ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ