スマブラ!
□I don't like restraint
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「了解した」
とある森の奥深く。
ソニックとスネークは、亜空軍と戦っていた。
いきなり空が暗闇に覆われ、気が付いたら周りを亜空軍に囲まれていた。
「ったく、キリがないぜ」
倒しても倒しても湧き出てくるプリム達と、もう随分と長い時間交戦している。
「バテたか?針鼠」
「No kidding!それはおっさんじゃねーの?」
こんな時でも相変わらずお互いに悪態をつきあう。
どちらも肩で息をしている状態なのに、だ。
「とにかく…体力勝負だな……」
「おっさんはおっさんらしくしてろよ」
「余計なお世話だ」
長時間戦っているといっても、しょせんはザコ軍団。
ソニックとスネークにとっては手に余る相手。
二人(正しくは一人と一匹)が攻撃を始めると、面白いようにプリム達は消えていく。
「ハッ、数さえいれば勝てるなんて考え、しょせんはザコだな!」
ソニックのスピードで敵を混乱させ、スネークの火器が敵を撃つ。
悪態をつきあっても、いつものチーム戦では全く息が合っていなくとも、いざとなれば、個々の戦闘能力も伴い、なかなかのチームワークになっている。
「結構やるじゃん、俺たち!!」
「9割は俺の活躍だな」
「…それはこっちのlinesだぜ、おっさん」
あれだけうじゃうじゃいた敵は、大分減ってきた。
そして…
「よっしゃ!ラストだ!」
最後の一体。
ソニックは突っ込んでいく。
しかし油断大敵、とはこのことだろうか。
最後の最後で、プリムが無我夢中で放った攻撃が、
ソニックに直撃した。
「っ!!」
先ほどの度重なる戦闘でのダメージも伴い、大きく吹っ飛ぶ。
吹き飛んだ先にあった木に勢いよく叩きつけられる。
「…針鼠!」
すぐにスネークは、攻撃を終えて隙だらけのプリムを蹴飛ばし、ソニックの近くに駆け寄る。
「……ってぇ……」
ソニックは相当強かに四肢をぶつけたのか、立ち上がることに苦戦していた。
更に、右足には痛々しい傷が。
「油断しているからだな」「うっせ…!」
スネークは大きなため息を吐きながら、救急箱を取り出した。
「…なんでそんなもん持ってきてんだよ……」
「お前みたいなのがいるから、だ」
「…………」
ソニックはバツが悪そうな顔をしてそっぽを向いた。
「足、診せろ」
「やだ」
「……」
スネークがソニックに怪我をした右足を診せるように促す。が、彼のプライドがそれを頑なに拒んだ。
「治療しないと歩けないだろう」
「別に、こんくらい…」
再び立ち上がろうとする。しかしその瞬間右足に激痛が走り、また座りこんでしまった。
「………」
「それみろ糞針鼠」
「うっせぇよ糞ジジィ」
スネークを軽く睨み付けながらも、ソニックはしぶしぶ右足を差し出した。
「……Please,care…」
「はじめからそうしろ」
スネークがソニックの右足を診る。出血がひどく、予想以上に傷は深かった。
消毒液をガーゼに浸し、傷にあてがう。
…案の定、傷口に消毒液はかなりしみるものだ。
ソニックは息を詰まらせ、瞳をぎゅっと閉じた。
「………っ」
「しみるか、いい様だな」
普段は見せない表情をするソニックを、ニヤニヤしながら見るスネーク。
「所詮はガキ、だな」
「……てめえ後でみてやがれ……」
一通り足の治療が終わり、少しの間休憩することになった。
ソニックが満足に動けない今、下手に動くのは危険だというスネークの判断だ。
また、強引に敵に突っ込んでいったソニックの蓄積ダメージは、かなりのものだった。
「…大丈夫か?」
「ん、Noproblem…」
浅い呼吸を繰り返すソニックの、背中のトゲを撫でてやる。
それに安堵したのか、くたりとスネークにもたれかかるソニック。
「…I am very tired…」「無計画過ぎるんだよ、お前は」
はあ、と大きなため息をつくスネーク。
そんな様子に、ソニックは疲れた口調で言い返す。
「…俺はな、縛られるのが大嫌いなんだ」
「…?」
「作戦とか計画とか…確かに重要かもしれねーけど、それに縛られるのはゴメンだね」
スネークが一瞬、何をいってるんだこの針鼠は、という顔をする。それを横目で見ながら、ソニックは言葉を続ける。
「だって、みんな『自由』に生きる権利があるだろ?…だったら、自分のやるべきことぐらい、自分で考える。他人やら作戦やらがどうこう、じゃなくてな」
―そうじゃないと、つまらないだろ?―
ソニックはへへっと微笑して、スネークの方を見る。
スネークは呆れながら再びわざとらしく、ため息を吐いた。
(まあ、こいつのいっていることも、あながち間違いではないが…)
「…それにしたってだな、お前は救いようのない馬鹿だから迷惑なんだ」
「は!?おっさんに言われたくねーよ!作戦、作戦って…老けるぜぇ?」
またまたぎゃあぎゃあと騒ぎ出す始末。
それは一晩中森の中に響き渡っていた。
「……でも」
「?」
口喧嘩がまだ続くかと思った時。ソニックが神妙な面持ちで
「足…治療してくれて、Thanks……」
とつぶやいた。
そのソニックの一言で、森は一気に静かになったという。
(素直にもっと前に言え。糞針鼠)
(俺にもプライドってもんがあんだよ!!)