スマブラ!

□夏
1ページ/2ページ

「あづい…」


スマブラ界にも夏がやってきた。

しかし異常に暑い。
気温は何度になっているのだろうか。
身体が床にひっつきそうな暑さだ。

ソニックはそんな中、大広間のソファーでだらしなく寝転んでいた。


「あづい…」

手に持っていたソーダ味のアイスが、どろどろ溶けて指にかかる。ひんやりとした感覚が、妙に気持ちいい。


「あづ…
「お前はそれしか言えないのか針鼠」


無意識に同じ言葉をまた言おうとしたとき、ドアが開いて、スネークが入ってきた。

額にはびっしょりと汗が。

「んあーおっさんHelloこんにちはveryhotですが何か」
「お前大丈夫か?」

少し壊れ気味なソニックの言葉。乱闘中の彼の姿とは大違いだ。


「なんで夏がこんなに暑いんだよあのじゃんけん野郎〜」
「じゃんけん野郎?」
「マスターハンドだよあああづい……」

マスターはこの世界の創造者だ。確かに彼が世界を作っているのだから、ソニックにいわせれば「さっさと気温下げろよマスタ〜」なわけだ。


「だらしないな。元の世界では英雄だろう?これくらいの暑さ…
「あづいぜこんちくしょ〜!」

駄目だ、いかれてる、っとスネークは判断した。

だが確かに今日は今までの中で一番暑い日かもしれない。

「アイス溶けてるぞ」
「What?」

「…アイス溶けてるぞ」
「Why?」
「………………」

気になっていたことをいったが、ソニックは疑問詞で返してくるだけ。スネークの何かがキレた。


「この糞針鼠!!アイスが溶けてると何度言わせる気だ!!」

いきなり叫んだため、ソニックは目を見開いて驚く。
「あぁ、SorrySorry………アイスね、分かったからさ落ち着けよいい年して本当に…」

はぁ…とソニックが呆れたようにため息を吐いた。スネークはその口に手榴弾を突っ込みたくなったがやめた。

この糞暑いなか、無駄に動きたくないのはスネークも同じな訳で。


ソニックがぺろりと指についたアイスを舐めて、再びグデーっとだらしない格好になる。


「あづいあづいあづい……おっさんアイスもう一本Please」
「残っていたアイスは昨日ヨッシーとカービィが食ってたぞ」
「んなにぃ!!アイスもう無いのかぁ!?」

もう俺は暑くて死ぬとか言いながらソファーの上をゴロゴロ転がるソニック。

するとまた唐突にドアが開いて。

「差し入れだよ、お二人さん」

今度はマスターだった。

「ピーチがスイカを切ってくれたようだから、遠慮なく食べてくれ」

テーブルの上に置かれた皿の上には、美味しそうなスイカが。


「なあマスタ〜気温下げるかクーラー設置しようぜ〜?」

「たまにはこんな日もいいでしょ。みんなプールで夏をエンジョイしてるよ」

プール、と聞いた途端に、ソニックは顔をしかめた。
「へん。プールなんかどこが楽しいのか理解できないぜまったく…」

そういえばソニックはかなづちだったな、とスネークが密かに思い出す。

「プール楽しいよ?れっつエンジョイプール!ってことで私は失礼するよ」

フンフーン♪と鼻歌を歌いながらマスターが部屋から出ていった。彼は暑さを知らないのだろうか。


「なあにがプールだよ。ガキ臭え…」
「お前はまだガキだろうが針鼠」
「精神的には大人ですー」「どこがだ」

まずこのだらしない格好からして「精神的に大人」はないだろう。

「そんなに暑いなら泳ぐ練習すればいいだろうに。お前の(無駄にある)運動神経ならすぐに…」

「スイカうめえぜおっさん」
「……………」


今日の彼はいつにも増して聞く耳持たないというかかなりヤバイ。

もうなんでもいいという気持ちでスネークもスイカにかじりつく。

冷たくて甘いスイカ。夏にはピッタリだ。

「Very sweet…」
「おい針鼠。もっと下の方まできちんと食え」

ふとスネークがソニックの方を見ると、スイカの上の方しか食べていないのが目について。


「スイカの醍醐味は上半分だぜえ?」
「…醍醐味とかじゃなくて食え。ピーチのフライパンの餌食になるかもしれんぞ?」

うへ、そりゃ勘弁と渋々またスイカにかじりつくソニック。

(何が精神的には大人、だ。バッチリガキじゃないか糞針鼠)


ぺろりと食べおわったソニック。またまた今度は床をゴロゴロ。


「ああ暑いぜ〜…」
「何なら一緒に泳ぐ練習してやろうか?」
「遠慮しとくわー」

「大体人間ってのは泳げない生き物なんだよ!」
「お前は針鼠だろうが」
「針鼠だって泳げませんよ〜だ」


まったくこいつは…とスネークは深いため息をついた。

(まあ苦手なことがある方が何かと便利だがな)
(特に生意気なこいつには…)


そんなことを考えていると、いきなりソニックがスネークの膝の上に乗り上げてきた。

「おい何やってる」
「眠ぃ……」

ソニックが乗ったことにより、更に暑さが増す。

「自室で寝ろ馬鹿」
「おっさんよりは馬鹿じゃねーよ……」


ソニックの背中の針は予想外にふわりとしていて柔らかい。

「……お前の針(トゲ?)針鼠らしからぬ針だな。もっとこう……硬くて痛々しい針だと思っていた」

言った直後に、何聞いてんだ俺は、と思ったスネーク。


「俺をその辺の針鼠と一緒にすんなよ…そりゃ乱闘の時はあれだけど、な」


今は力を抜いているのだろう。乱闘では凶器と化すのだから。

「とにかく自室に行って寝ろ」
「んん〜……」

とろんとした目で見上げるソニック。本当に眠いのだろう、スネークに完全に身体を預けて目をこする。

そして気が付いた時には静かな寝息が聞こえて来て。
(この糞針鼠)
(そんな顔して眠られたら……)
(起こそうにも起こせないじゃないか)

スネークはそっとソニックの背中のトゲを撫でた。


(プールに沈めてくるか)

オマケ→
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ