スマブラ!

□かなづち
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俺は走ることには誰よりも自信があるし、負ける気もない。

その自慢の足のおかげか、乱闘では必ず上位に入る。

メンバーには「ソニック足速すぎてずるい!」なんて言われる始末。

現に俺はスマブラメンバーの中でもかなり強い方に認識されている。

…ま、怒らせて一番恐ろしいのは、Mr.任天堂の赤い髭のおじさんだと思う。個人的に。

ただこんな俺にだって、苦手なものの一つや二つ。

もちろんあの段ボール愛護団体会長のおっさんは色んな意味で苦手だけど………
それ以外で俺の苦手なもの……それは………

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
浮かない顔をしているであろう俺に、マリオが少し心配そうに尋ねてくる。

「どした?なんかテンション低いな。お前らしくないぞー?」

いつも試合前はそこらへんを走り回ったり、乱闘の相手と話したり(相手によっては挑発したり)する。

だけど…マリオ、今俺達がいる、ステージ見ろよ。

……あ、まだスマブラメンバーには言ってなかったか。

………俺が、かなづちだということを…………。


今日のステージは、トゥーンリンクが「赤獅子の王にあいたいんだよー!!」と騒ぎはじめたのがきっかけで、『海賊船』で戦うハメに。


……俺はまだ乱闘に慣れはじめたばかりだから、大体マリオが配慮して、俺の好きなステージを選ばせてくれていた。

ちなみにグリーンヒルゾーンはナッコーやテイルスが(かなり遠いが)見えるし、馴染みのあるステージだから好きだな。
(他のメンバーは、中央がへこんでて戦いにくいだのなんだの言ってるな)

だけどいつまでも甘えてる訳にはいかないから、今日はMr.任天堂の好きなステージでやろうぜ、と言ったら、これだ。

周りは海。最悪だなこりゃ。船なんか揺れまくりだしあぁ早くこのステージから去りたい…。


試合開始直後、早くステージから去るために、いきなりトゥーンに攻撃。

「うひゃあ!」

蹴りをくらったトゥーンは後方に後ずさる。

「なんだよ〜いきなり!」
不満の声を漏らしてトゥーンがまた立ち上がる。
さすがに子供相手に大人げなかったか…
(まあ、俺だって15歳の子供なんだけど)
(…いやいや、そんなことないか。精神的に俺はきっと大人に値してるさ)

なんて一人で自問自答していると、トゥーンがブーメランを投げてきて。ギリギリで俺は避けた。

「うー、ソニック大人げないよ〜!」
「俺は誰にだって手加減なしだぜ?」

…はっきりいってトゥーンやリュカなんかには少し手を抜くときもあるが、基本メンバー全員強者ぞろい。手加減なんてしてる暇はないしな。

特にマリオは任天堂代表にふさわしい実力者。あの人を怒らせたらただじゃすまない。

「ソニック、トゥーン、いくよ!」

離れたところで俺とトゥーンのやりあいを見ていたマリオがお得意のファイアーボールを撃ってくる。

いいよな〜飛び道具ある奴らはさ。俺なんか身ひとつで突っ込むんだぜ?

スプリングジャンプで上にとびあがってファイアーボールから逃れる。トゥーンは盾で防いでいるようだ。
「はっ!当たらねえぜ、マリオ!」

空中で身体を丸めて、ホーミングアタックの姿勢になる。もちろん狙いはマリオ。

勢いよくマリオに向かって加速していく。

攻撃HIT!と思った瞬間。
「まだまだ甘いよソニック!」

いきなり攻撃方向が逆になって、バランスを崩した。なんだなんだ!?

…よく見れば黄色いマントが見えて。

「ちっ…スーパーマント、ねぇ…!」

そういって空中で身体のバランスをとろうと下をみると。

「………!Sea!?」

一面に広がる海。

まずいまずいまずい!!!俺かなづちなんだってのに!!

ストップストップ!!
My body!!
いやだからとまれって!!

そんなこと思ってもそれはかなわない願いで終わった。


いくら脚力が強くても、空中では意味をなさないし、重力には逆らえない。


バッシャアアアン!!!

大きな水柱をたてて、案の定海にどぼん。
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