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□あなたの彼女になれますか
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夢莉side

初めてその子に出会ったのは入学式。
同じクラスの生徒会役員の井尻さんに
どうしても役員が2人足りないからと
頼まれて親友である朱莉と二人で、
入学式の運営を手伝っていた時だった。

真新しい制服を着た可愛い一年生が
二人で私達の所にやってきた。
『あの…私達ってどこに行ったらいいんでしょうか…』
迷ったのか。
太田「えーっと小嶋さんと…星乃さん?」
石塚「3組やね!こっちやで!」
朱莉が私より先に名簿から名前を見つけて
2人を先導していく。
星乃 愛羅ちゃん…か。
ようやく見つけたその名前がとても
輝いて見えて話しかけてくれた時の
困ったような笑顔が胸から離れなくなった。

二人を送り届けて帰ってきた朱莉に言う。
太田「さっきの…愛羅ちゃん?可愛かったね」
石塚「夢莉がそんなこと言うなんて珍しいな」
太田「初めてだよ。こんなの。」
石塚「あ、インターハイ、誘っちゃえば?」
太田「は?」
石塚「どうせレギュラー決定でしょ?」
太田「…呆れたタラシってそういうもんなの?」
石塚「タラシちゃうし!このヘタレ!」

呼びたい。そう思った。
バスケならそれなりに自信がある。
少しは可能性があるかもしれない。

〜2ヶ月後〜
石塚「でー?来てくれるって?」
太田「…聞いてない」
石塚「はぁー?ちょ、今日!今日行けって!」
太田「やっぱ無理だよ…まともに話したこともないのに急にインターハイ誘うとか…」
石塚「夢莉はバスケがあるからモテるんでしょ!?!?」
太田「んな、失礼な事言ってる自覚ある!?」
石塚「とりあえず、今日は三組に行きな」

やっぱ、背中を押してほしかったんだと思う
その日の昼休み彼女に会いに行った。
答えはYes。
でも、断れなかっただけかもしれない…
そう思ったらやっぱり自信がなくなった。
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