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□気がついたら
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愛羅side

私がアイドルを目指したのは、ほんの
少し前。

まだ小学生だった私は将来の夢なんて
それはそれは一切考えずに過ごしていた。

5年生の時にいじめに遭ったトラウマで
学校は不登校。
熱中する習い事もなく、親も仕事ばかりで
ほとんど会うことも無く、同じ日を繰り
返すような生活をしていた。


いつも、仕事を優先するような母がある日
リビングで見ていた音楽番組。

そこに出ていたのがNMB48。

難波がどこにあるのかも知らない小学生が
アイドルに興味を持った日だった。

部屋に帰って検索をかけて遠いところだと
知る。それで思いついた。
ここを出ていってみよう。

母親にしたいことを言うのなんて小さい頃
ぶりだったから、母親は驚きつつ、遠出の
不安を口にした。

それでも、オーディションを受けたいと
必死に言ったのは人生で初めて漫画のように
ピンと来たから。

オーディションの時、周りの子達は
「昔からアイドルが大好きで…」とか
語っていた。
私は大量生産されたアイドルの原石は
こんなもんなんだと思った。

私は、誰かを元気づけるような存在に
なりたかったんじゃない。


少なくとも自分のためだった。

後の方の審査になるにつれ、内容は
アイドルのオーディションらしいものに
なっていった。
ダンスも歌も経験はなかったけど、
NMBに入って1人になるためには懸命に
やるしか無かった。
歌唱選考は本当に何を歌うか迷い、
特別好きな曲もなかったから初めて聞いた
NMBの曲であるオーマイガーを選曲した。

今では適当な選択だったなぁと感じる。

合格者を発表された時は次の家のことしか
考えていなかった。
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