Dream novel
□つつきあい(和泉守兼定)
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つつきすぎボイスが習合制度で実装されたらしい。
「おっしゃきたぁぁぁぁ!」
その通達を受け取った私は思わず叫んで、近くにいた一期に怒られてしまった。
初めての習合は兼さんこと和泉守兼定だった。
「オレが最初ねぇ……いい目してんじゃねーか。」
「そう?単純に初めに2本目が来たのが兼さんってだけだよ?」
習合の時、彼はどこか照れくさそうに言った。初めてなので二人とも少し緊張している。
それはともかく、どうやら兼さんは、つつきすぎボイスについては知らないらしい。
いずれ君は地獄を見るぞと思いながら、私は習合の操作をした。
その2週間後。
「今日もやんぞ!おりゃ!」
兼さんは案の定つつかれまくっていた。
原因は私がつつきすぎボイスを聞くのを日課とし出したからである。
今日は近侍として仕事をやっているところを狙った。
「オイ、もうそろそろ飽きねぇのか?」
「飽きないんだな、これが。」
兼さんは鬱陶しいとため息をついた。
流石に2週間連続はやりすぎただろうか。その兼さんの様子にほんの少し罪悪感が出る。
「あー、なんかごめんね?」
「謝るくらいなら仕事しろ。」
別のことで叱られてしまった。兼さんってこんな仕事仕事いう人だっけ?と不思議に思いながら書類にとりかかる。
30分くらい書類と向き合ったとき、頬を何かにつつかれた。
「ちょ…何?」
「仕返しってとこだな。」
兼さんが私の頬を指で押す。そしていつも私が彼にやるようにがんがんつつき始めた。
「やりすぎだって!やめてよ。」
私は思わず叫ぶ。
「それがいつものオレの気持ちだな。そらよ!」
その叫びもむなしく、彼はその手を止めなかった。
「ここまではしてないでしょ……こうなったらこっちもやり返すかんな!」
やられっぱなしは悔しい。私は反撃を開始した。
しばらくつつきあっていると指が疲れてきた。
「仕事サボってなーにしてんだか。」
「仕掛けてきたの兼さんでしょ。」
そのままごろんと寝転がる。同時に笑いがこぼれた。
兼さんも隣で爆笑している。ほのぼのとした雰囲気が流れた。
と思ったら。
「二人とも!イチャイチャしてないで仕事してください!」
なんと堀川に見つかり、説教を受けることになってしまったのだった。