日陰の蒼空

□第6天
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送迎バスが寮に到着し
メンバーがゾロゾロとバスから降り、
話しながら寮へと入っていく中、
志田はひらがなけやきの寮へと足を進めた。



その様子を通目で見ていた理佐は
?マークを浮かべながらも
とりあえず自分の荷物を部屋に置きに帰った。




















道中、瀧館とLINEを交わしていたが
のらりくらり本心を躱されていることで
徐々に怒りが込み上げてきた志田は
寮のロックを解除すると
ズンズンと一目散に瀧館の部屋へと進み
思いっきりドアを叩いた。







志田「おいっ!、開けろ!!」


『今、開けますから…』







物怖じせず、ドアを開けて招き入れ、

収録、お疲れさまでした。
ねるさん、欅坂に専任ですね。
念願、叶いましたね。

そう言いながら振り返ろうとすると・・・







志田「・・・ふっざけんなよっ!!」


『いっ‼、、、ったぁ……』






怒りが爆発し、思わず殴り飛ばした志田と
モロに喰らって吹っ飛び、
クローゼットに思いっきり
後頭部を強打した瀧館。



それでもなお、胸ぐらを掴み、
鬼気迫る表情で睨みつける志田は
後頭部を抑えながら
唇が切れてないかを確認する瀧館を見て
更に苛立ち、掴んでいる力をより強めた。



あまりに大きな音だったため、
隣にいた影山と
向かいの京子がすぐに駆け付け
京子が志田を引き離し、
影山は瀧館の傍に駆け寄った。







京子「どしたっ!?、、、って、ちょっ!?
・・・まっ、、な、かさんっ!、、
おちっ、おちついてください!!」


影山「哀!?、、大丈夫?」


『あ〜…、大丈夫。』


志田「はなっ、せよぉっ!、、」


京子「いくら…まなかさんのお願いでも、、
今は、聞けませんっ!」


『・・・っ、、何か、、、
 勘違い…してそうですけど
 うちは別に、ねるさんの専任を
 嬉しがってはいませんよ…』


志田「でもアンタはっ!」


『たしかに…今後のことを思えば
 この選択はうちたちにとっては
 「得」の方が大きいかもしれない。

 でも、現状は「損」ですよ、「大損」。
 
 ねるさんという一大看板が外れた今、
 ひらがなけやきという道は…
 一寸先すら見えない真っ暗闇です。

 ですが…ここからうちたちが
 どう脱却し、
 どう打開していくのか、、

 その様を、先輩として…ねるさんと一緒に
 見届けてはくれませんかね、先輩。』


志田「・・・哀…」


『いつか、、追い抜いてみせますから。』


志田「・・・はっ、調子乗んな、後輩が。
あと〜、、あれだ…、、、わりぃ。京子も。」


京子「えっ、いや、、」


『うちこそ、すみません。』


志田「今度、なんかおごれよ?
・・・・・それで許す。」


『ははっ、了解です、先輩。』


志田「あ〜、、騒がしてごめんな?
あいつんこと、頼むわ。」


影山「はいっ!」










瀧館の本心を聞いた志田は落ち着き、
無謀過ぎる目標に笑いつつ、
今回の騒動を謝罪して
欅坂の寮へと戻っていった。



その姿は…どこか清々しかった。


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