短編

□酔うと素直になるみたいです。
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「咲乃〜」







超御機嫌テンションで帰宅してきたのは、
ド深夜の1時を回った頃。



愛佳と同棲し始めて
かれこれもう3年になるけれど、
こんなにベロベロは珍しい。







「たらぁぃまぁっ!!」







ニッコニコな笑顔とルンルンな感じの
愛佳から鞄を受け取ると
そのままうちに抱き着いて
咲乃の匂いらぁ〜…って
言いながらグリグリしてくる。



普段はサバサバしてるけど、
甘えてくるときは甘えてくる。



でも、ここまでのは初めて。



まぁ、頬、真っ赤っかだし、ね。







『愛佳〜?』







同期の理佐とだにと呑んでくる〜!って
LINEが入ってたけど、
ここまでベロベロとは…。



よくこんなんで無事に帰ってきたよね(笑)



うちが愛佳をとりあえずリビングまで
連れていこうとフラフラの身体を支えると、
すぐさまキスをされた。



荒々しく貪るように求めてくる彼女に、
うちのスイッチが入りそうになる。



やっと満足したか。と思えば
またキスしようとしてくるので、
慌てて抑える。







『なっ、待ってって!
 とりあえず水飲んで落ち着いて!!』


「お〜ち〜つ〜い〜て〜る〜!
 だ〜か〜ら〜、、ちゅーして?」


『・・・だめだ〜、』







すんごい不満そうに見てくるけど
これ、絶対に二日酔い確定だよなぁ。



まぁ、本当は今すぐにでも
襲っちゃいたいんだけど
明日も朝から仕事なんだよね〜…と
喚いてた彼女から我慢我慢・・・。



リビングのソファに座らせて
お水出すからちょっと待っててって言っても
そんなうちの声が
泥酔状態の愛佳に届くはずもなく、
ミネラルウォーターを出そうと
冷蔵庫を開けようとした
うちの身体に後ろから抱き着いてくする。



もはや諦め半分で振り返ると、
ニッコニコなネコそっくりな愛佳の顔が。







「咲乃っ、好きっ、大好きっ」

『分かったから。』

「冷たい!!
 もう咲乃は…
 まなかのこと、、すきじゃないの…?」

『……好きだわ。』







いつもとは逆な感じになんか調子狂う…



引き剥がそうとするけど、
増々、腕の力が強くなるだけ。



上と対立して
納得させる資料ができない〜…って
ボヤいてたけどそのストレス発散とはいえ、
理佐や織田にもこの姿見せたのか、、と
少しモヤっとした気分になった。



すると、愛佳がまたキスしてきて、







「咲乃」







なぁんて、あまぁい声で
うちの名前、呼んでくるから
流石に我慢の限界。



軽く乱れたスーツに
真っ赤な顔と潤んだ瞳。



堪え切れるわけがない。







「・・・好き。」







愛佳は甘々ボイスで
うちの名前を呼びながら
またキスしてきた。



うちはそのキスに応えるように
壁ドンの要領で愛佳を覆った。



しかし、愛佳がうちの首元に抱きついて、
熱い吐息が首筋に当たる。



そのまま、うちの鎖骨にキスマをつけた。



思わずゾクリとカラダが震えた。



うちも、愛佳の耳にそっとキスをする。



そして、ジャケットを乱雑に放り
シャツのボタンに手を伸ばしたら・・・







愛佳の動きがピタリと止まって、
すぅ…すぅ…と穏やかな寝息が。



まさか…と、彼女の顔を確認すると、
気持ちよさげに夢の中へ旅立っていた。



あぁ、生殺し・・・



明日の朝には、普段通りに
おは〜!って感じだろうなぁ。



一つ、大きめの溜息を吐いてから
ベッドに寝かせる。







『・・・おやすみ、愛佳。』







せめてもの、と軽くキスをしてから、
幼い寝顔を見ながらうちも夢の中へ・・・



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