短編

□こういう日も悪くない。
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月末ということもあり
今後の方針決めで白熱した討論会。



業績等を考慮しつつ
4月からの指針にもなることから
一層、白熱したこともあり、
最寄り駅に着いたのは夜10時過ぎ。








『…ん?、、美穂、どした?』

「コンビニ寄ったついでに来ちゃった♪」







今日も頑張ったなぁ〜って思いながら
改札を抜けると、
駅前のシャッターの下りた本屋の前で
突っ立ってる美穂がいた。



ついさっき、もうちょっとで着くよ。って
LINEで連絡を入れたばっかなのにね。



いつからワープできたんでしょう…



一緒に暮らしてる我が家から
駅までは多少、時間が掛かるんですけども。









『なに買ったの?』


「え、あぁ、肉まんとコンポタ!
 寒いし、なんかひかれちゃって、へへっ。」


『・・・夜10時過ぎに?』


「うっ…今日はいいのっ!」







美穂が突然、走り出したので
腕を掴まえて止めようと手を伸ばすと、
微かに触れた指先の温度に思わず…







『・・・つめたっ』


「・・・・・ぁっ、、」







げっ、バレた!?
まさにそんな感じの顔だった。



今夜は特に風がきつくて、結構冷える。
だけど、少しコンビニに寄ったくらいでは
こんなに冷たくならない。



まさかっ!と思い、
美穂の持ってるレジ袋に手を入れると、
冷め切った肉まんとコンポタの缶が…







「・・・だって咲乃、、
 今日はすぐ帰れるって言ったから……」







ぶーっ、、っていうような
効果音が付きそうな顔をしながら言われ、
あ〜、そう言ったなぁって。



白熱したこともあり、
大幅に遅くなっちゃったんだよね。



うちは恋人繋ぎにして歩きながら聞いた。







『ずっと待ってたんだ。』


「や、、ずっとじゃないけど〜、
 まぁ、ん〜、、ちょっとだけ?」







思ったより遅いから心配した…、
なんかあったのかなぁって。



相変らずのぶー…顔でおっしゃったので
どうやらこれはだいぶ待ってらっしゃったね。







『ねぇ美穂?』

「なに〜?」

『一段と冷えるね。』

「そうだよぉ〜…」

『我が家まではまだまだです。』

「さ〜ぶ〜いぃ〜……」







美穂は腕を組みながら縮こまっている。



流石に長時間待ってたんじゃ〜
そりゃ寒いに決まってるって。







『ほら、こうすればあったかくなるでしょ?』







うちのマフラーを美穂に巻くと、
顔を埋めながらスンスンしてる。


顔はゆるゆるに微笑んでて
耳も赤くなってる。







「・・・へへっ、いいにおい♪」







あま〜い声で言われてほっこりする。


御機嫌でルンルンな美穂が見れただけで
充分、満足だし、疲れもどっか飛んでくさ。


あぁ〜、、たまには、こんな日もいいよねぇ。




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