妄想話

□ミルクティー➂
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パシャ


同じベッドで迎えた朝、全裸の儘の僕たちはまだ夢うつつ。目が覚めてゆっくりと寝返りを打つとそこには、だらしなく口を半開きにしてヨダレを垂らす愛しい人の顔。

「ふっ、ベンチャー企業の若社長、ウケる。」

枕元のスマホに手を伸ばして、僕しか知らないその顔をカメラロールに収める。どうせ誰にも自慢できない恋愛なんだからこのくらい許して欲しい。

「…そんな可愛い顔しちゃって」

掠れ声の独り言は宙に消える。
虚しい、なんて言ったら怒られるかな、こんな完璧な彼氏がいるのに。
目は覚めたけど、この余韻をまだ手放したくはない。何しろ僕なんかが彼を独占できるのはこのベッドの上くらいなんだから。

「ん、テソナ…おきてる?」

寝抜けのボンヤリした口調がかわいい。

「今起きたとろ」

「んんーっ!…好き」

寝ぼけながら遮二無二抱きついてくるヒョン。拒む理由もなくそれを受け止めて、午前中の眩しい日差しの中布団の中で愛を確かめる、ああ幸せ。

「ヒョン、ヨダレがつく。」

「いいでしょ、どうせヨダレより濃厚な体液塗れだった癖に。」

「ばかそう言う問題じゃない!」

「じゃあ今からまたヨダレなんか気にならないくらい全身ベットベトになろう、テソナ。」

「ヒョンて本当に僕の事好きですね。」

「うん、気がおかしくなりそうなくらい好き。お前以外勃たない、お前しか欲しくない、お前だけいれば他に何もいらない。」

わかっていてやってるのかな、この人。
自分がどれ程美男なのか、こんな甘ったるい雰囲気で殺し文句を囁きながら、しかもここはベッドの上。
僕は体の芯から蕩けてなくなってしまいそう。

仰向けに横たわる僕の上に乗り上げてきながら真上から愛を囁く甘い恋人。
その洋服の上からじゃわからない、案外逞しい胸筋に手のひらを這わせる。

「ヒョンは僕だけのもの…?」

何だか直視できなくてヒョンの視線から目を逸らしてしまう。

「俺を試してるの?」

相変わらず強い視線が注がれているのを感じながら、僕は返答できずにいる。
ヒョンのこう言うところ。
野心家で自信過剰で自分は特別っていつも思ってる。その癖甘え上手で愛嬌もあるから愛され体質で、僕がどんなに努力しても持てないものを簡単に手に入れてしまう。

「…わかんない」

ひねくれて、素直になれない自分。
ヒョンを愛してるのにそれだけじゃない感情が渦巻く。
卑屈になる程心の距離が空いていく。

「テソナ、本当にお前はずるい」

「え…」

「そうやって俺の気持ちを翻弄して、確かなものを何もくれない。罪なやつ、こんなに全てを捧げても足りないの?」

一方的に口早に言いたい事を言うと、首筋に唇を寄せてくる。

そんなセクシーな仕草に正直腰が砕ける。

「俺をどうしたいの、てそなぁ…」

うわ言の様に囁いて首と鎖骨の間に唇をつけたままきつく吸い付く。

「んっ…」

半ば流されかけながらふと視線を巡らせた先に見えた僕のスマホ。

「…ひょん」

「ん…?」

「ふふ…見て、これ」

そう言ってスマホを操作して先ほど盗撮したヒョンのだらしのない寝顔を映し出す。

「げっ!ひどい!テソナ!今すぐ消して!」

「僕の大好きな人の大好きな顔。」

僕がそのまま画面を操作していると突然

「ひっ…!」

臀部を撫で回す手のひらの感触に変な声が出た。

「ねえテソナ、それわざとだったら許せないよ」

と言いながらも手の動きは力強さを増し、求められているのかと錯覚してしまう。

「ヒョン、だめぇ…」

「テソナ、テソナ…!」

我慢が効かないのか臀部を揉んでいた手が肉を掻き分け後ろの入り口へたどり着く。

「…っ」

ベッドでだけ、僕はヒョンを手に入れられる。快楽だけを貪って何も考えなくて良くなる。

昨日散々ヒョンの大きいのを出し入れされた孔は抵抗なく指を飲み込んでいく。
ゆるくなってる…ああ、もう3本も挿入っちゃった。躊躇いもせずイイ所を指の腹でさすられて早くも前が勃ち上がってきた。

「全部美味そう…テソナ、食べても食べてもまだ足りない…」

うっとりと、僕の目を見たままそんな事を言う。リッチでイケメンで誰もが羨む立場にいながら、今は僕のお尻に指を入れてだらし無く喜んでいる。

ヒョン。

僕もあなたの全てが好きです、ヨダレを垂らしている寝顔も、部下達に慕われ会社で気丈に振る舞う貴方も、僕を抱きながら熱い息を吐き眉間に皺を寄せる顔も。
つまらない劣等感とか独占欲とかそんなものは忘れて、只、今はこの体を繋げてひとつになりたい。

貴方が思う以上に僕は惚れてしまってるよ。


「ううんっ…んっ、んっ」

ググッと力強く侵入して来たヒョンの熱さに、思考が止まって僕はただ目の前の恋人の体を必死で抱き寄せた。





END
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