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「………」

「………」


 私が発した一言の後、ポカンとした顔で沈黙するラスに、私から言うべき事が思い付かずに沈黙を返す。

 と、ラスの手にあるカップが徐々に傾いている事に気付いて慌てて声を上げた。


「ラス危ない。カップ!」

「ぅあちぃ!!」


 言うも虚しくカップの中身がラスの足にかかった。


「あ〜あ〜、だから言ったのに」


 言いながらキッチンへ向かって、布巾を手に持ちラスの元に駆け寄る。


「シミになるかな。早く洗った方がいいかも」


 布巾を持った手でベシベシ紅茶がかかった太股辺りを叩く。


「悪ぃ。つか痛え」

「こん位やんなきゃ取れないの」


 尚もベシベシやってる私を大人しく眺めていたらしいラスが、不意に私の腕を掴んだ。

 反射的にラスの顔を見上げると、物凄く真剣な顔に変わってた。


 ってか真剣過ぎて恐い顔になってるよ?


「……何て言った?」

「……“こん位やんなきゃ取れない”」

「もっと前」

「“早く洗った方がいいよ”」


 徐々に恐さが軽くなってくラスと見つめ合う。



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