T
□‡7
1ページ/30ページ
――――――――――
「ジーク、ちょっといいか?」
リロイの家から王都の宿屋に戻ると、宿屋の前にはラスが立っていた。俺の事を待っていたらしい。
「どうしたんですか? こんな時間に」
「聞きたい事がある」
普段纏っている軽い雰囲気が無く、真剣な面持ちな事から…まあ、アリスの事だろう。
「ここじゃ何ですから、部屋で話しましょう」
--------------------
「紅のアリスと魔の夜は関係があるんだな?」
「どうしたんですか急に?」
部屋に入るなり開口一番に核心を突いて来た。
「何でもいいから答えろ。そうなんだな?」
素直に答えようかどうしようか迷ったが、どうせラスにもバレる事だ。というか、既にほぼ確信している筈だ。
「ええ」
肯定の返事を聞くと、“やっぱりな”といった風に暫し考え、顔を上げた。
「どこまで知ってる?」
「……魔の夜を引き起こしたのが現在紅のアリスと呼ばれている者で、今も何処かに封印されている。その位です」
俺の答えに、その眉間には皺が寄せられた。
「何でんな事知ってんだ?」
.