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「どちらも軽々しく選択出来る物ではないのだが……選択しないという選択肢は無いのだ」


 賢術士の爺様の話を引き継ぐように、国王が口を開いた。

 爺様同様、口調には苦渋が多分に含まれている。
 それも当然の事だ。

 要求の受諾はアリスの封印を解くという事。魔族との衝突は避けられるかもしれないが、魔の夜の再現が行われる可能性が非常に高い。

 要求の拒絶は確実に魔族との衝突を意味する。



 国王はその一言だけ口を挟むと、再び重々しい表情で押し黙った。代わりに賢術士の爺様が再度口を開く。


「とりあえず……それぞれのリスクと可能性を考えると、要求に応じる方がまだ何とか出来る余地があるように思うのだが。各々意見を聞きたい」


 始めに彼の視線に応えたのは高位魔導士のうちの一人だった。


「確かに魔族との衝突に直結しない分、その方がリスクは低いかもしれません。ですが……魔の夜を引き起こした張本人なのでしょう? 危険過ぎます。それに、魔の夜の再現になってしまった場合、我々にはそれを抑える手立てがありません」



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