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「なんか随分気にしてるみたいだけど。何で?」
「いや…その、よぉ……」
今度は逆にこっちの事を聞かれて思わず言い淀む。
その理由は二つあったが、片方は……流石に言えねえな。
「何?」
「……透けてたんだ」
「ん?」
「その女。幽霊だって言ってた」
とりあえず言える方の答えを伝えた。
「……そう」
「驚かないのか?」
少し深刻な様相を帯びた(ような気がした)ものの、その声音は確かに驚いてはいない。
「ジークは……その可能性も視野に入れてる」
「!?」
それは……既に死んでいるかもしれねえ人間を探してるって事か。
確かにこの世界状況だ。街の外に出れば命の危険が付き纏う。
死んでいるかもしれなくとも探さなければならない。それ程ジークにとって重要な女なのか……。
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