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本題に入るまでに余計な邪魔が入っちまった。
若干の緊張が滲んだが、極力平静を装って切り出す。
「前にジークが言ってた探してる女っての、何なんだ?」
「……それって、銀髪の?」
「おう」
レンは俺の言う女の事がすぐ分かったらしい。
怪訝そうにされるのは想像していた範囲内だが……僅かに動揺したように見えたのは、気のせいか?
「何で?」
「……少し前に似た女に会った」
「………」
“会った”って事実には驚かれるものと思っていたが……。それは予想していたよりも大分少なく、沈黙が返った。
相手が猫なだけあって、人間程目立った表情の変化が無いお陰で心情を測り知るのは困難だ。
「どうした?」
「ぇあぅ!? や、何でも無い」
何かを考える素振りに見えたレンに声を掛けると、妙な声と共に何でもないと言う。
だが様子がおかしかったのは一瞬の事で、すぐ冷静に状況を聞き始めた。
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