T
□‡9
1ページ/17ページ
「調子の方はもういいのか?」
「ん〜、まだ全快って訳にはいかないけど、普通に動き回れる位にはなったよ」
魔王が用意した部屋(ご丁寧にジークとは別部屋)でレンと二人。
一頻りジークの方の部屋を見終わって、今度は俺に当てられた部屋を見に来た所だ。
「こっちも同じ造りなんだね」
「城にある客室なんてそんなもんだろ」
「そっか」
つまらなそうなレンの様子に思わず笑った。
「……なあ、昨日みてえに人間で実体化出来るか?」
不意にそんな言葉が口から出た。
実はかなり気になってた。
もう一度見たい。触れてみたかった。
だが、それに伴う負担の事を思い出す。
「あ〜、っと。今のは無しだ」
俺の前言撤回の理由がすぐに分かったのか、笑いの気配と共に口を開くレン。
「何で? 動き回ったりしない限りは大丈夫だと思うよ。でも多分昨日と同じにはなれないと思うけど。それでもいい?」
「それは別にいい、けど……?」
昨日と同じになれないって事の意味は分からなかったが、本人が大丈夫だってんなら、と返事をした。
「じゃ、いきま〜す」
.