短編 CP

□苦しい時も
1ページ/1ページ

西side











「ふぅ…………」






疲れた






レッスンルームから少し離れた自動販売機の前の椅子に座る。










最近はありがたい事に、1人での外仕事も増えてきた。自分の事も知ってもらえるし、乃木坂に新しく興味を持ってくれる人もいるかもしれないから、外仕事が増えたことはほんまに嬉しい







………ただ








疲れる。









もちろん体力的にも疲れるんやけど、初めて会うスタッフさんや共演者の方が多いからずっと気を張っとかなあかんくて、心も疲れる。

















『なぁちゃん』
「ん?」








ボーッと自動販売機に映る疲れた顔を見てると、頭の上から美彩の声がした。








『疲れてるねぇ』
「うん……」
『外仕事多いもんね』








美彩は優しいから、その優しさに甘えて少し無愛想に返す。それでも美彩は優しく笑って頭を撫でてくれる。





こうやって甘えれる人って、意外と少ないかも。かずみんとかは仲良いけど、他のみんなには結構気を使ってまう。






別に仲悪いわけちゃうで







けど、なんやろ?
美彩の雰囲気かな?
なんか甘えやすいし、甘えたくなる








『なぁちゃん…………いきなりだけど……………美彩と付き合お?』
「え?」
『だ・か・ら、美彩と付き合お?』
「もぉ〜なな疲れてんねん、冗談はやめてやぁ」






疲れてるななを励ましてくれてるんかな?と思って「冗談はやめてや」って言ったけど、隣にいた美彩は真剣な顔をしてた。







『冗談じゃ無いよ』
「っ!……いくら美彩でも、そうやって弱ってる人につけ込むのは良くないで」
『なぁちゃん、みさは“付き合う”って楽しい事だけじゃなくて、苦しい事もしんどい事も全部“付き合う”って事だと思うんだ。苦しさに付き合うよって、落ち込んだ時も付き合うよって』
「………………」
『なぁちゃんが1人じゃ抱えきれない不安も、悲しみも、全部付き合いたいの。みさじゃ………だめ?』












ダメな訳ない











こんな弱虫のななが抱えきれない悲しみも全部一緒に付き合いたいって言ってくれるのなんて、美彩以外おらへん











こんなに甘えたいと思える人も………












美彩以外おらへん









「……ダメ…やない」
『それってOKって事!?』
「うん……」
『やった〜!』











美彩が嬉しそうにななを抱きしめておでこにキスをくれる。
ちょうどその時美彩の携帯が鳴った。












『えぇ〜、もうレッスン始まるって』
「それは戻らな」
『せっかくなぁちゃんと2人だったのに』
「レッスンは大事やで」
『でも〜』













珍しく美彩が駄々をこねる
なんかまいやんみたいやな










「美彩、続きは後でな?」
『なぁちゃん!それってどういう意味で言ってる!?』
「多分美彩が思ってる通りやで」









そう言って立ち上がり、後ろで騒いでる美彩を置いてレッスンルームに戻る。










今日の夜…………楽しみやなぁ














.
次の章へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ