Un bel funerale

□5:comportamento
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 これが、イタリアの、駅……
 多くの人がいてにぎやかだ。だけど下品な感じではないというか、活気そのものって感じだ。掲示板や新聞紙や、文字はイタリア語で書いてあって「本当にイタリアなんだなあ」と思わず嘆息をもらす。しかし聞こえてくる言語は日本語。日本語……なのか? わからない……なんでコミュニケーション取れてるんだろう?

「オイ名無し聞いてんのか?!」
「ひゃい!? えっと! なんでしたっけ!?」
「兄貴は先頭車両、オレたちは後ろから回るんだよ、ちゃんと聞いとけよもう」
「あ、ご、ごめんなさい」

 気を引き締めていこうって決意した矢先にこれだもんな……浮かれたら死ぬ、浮かれたら死ぬ、よし集中。

 指示されたとおりに車両の最後尾まで動く。時間があまりないため割と速足なわけだけど、身長差があるためになかなか追いつくのが難しい。

(外国人 脚 長 凄)

 やっとで追いつき、ペッシさんのそばにつく。一緒にいるにあたってプロシュートの兄貴が私に出した条件はひとつだけ。『死にたくなければ目の届く範囲にいろ』。あまりにも雑な指示であったけれど、知らないところで好き勝手されても困るわけだし、まあ余所者だし、ほっぽり出さないだけ良心的だと思いたい。

 列車内をペッシさんと注意深く進んでいく。何もないのはわかっているけど。私は今後の展開を何かしら変えられそうなものはないものかと考えながら後をついていった。何両か進んだところで、つくりの少し違うところに出る。

(あ、ここあれじゃないかな。食堂車とかいうアレ)

 確か原作でペッシさんがミスタを釣り上げていた、あの場所だ。ならばまず間違いなく氷があるはず。
 彼の目を盗んでこっそりカウンターの中に入る。なんで今誰もいないんだろう。まあ僥倖ってことでいいや。アジトから持ってきたお手製の小さい布袋に氷を少し詰めていく。手早く作業を終えてそそくさとカウンターから出ていくと不機嫌な顔をしたペッシさんと目が合ってしまった。

「……」
「……。な、なにも怪しいものはなかったです」
「まったくもう〜そこにいるなら何か言ってくれよ。オレが兄貴に叱られちまう」
「ご、ごめん、ホントに。もしそうなったら正直に『こいつが勝手な行動しました』って言ってくれればいいですから……」

 適当に取り繕ったはいいけど、ペッシさんの私に対する好感度はまず間違いなく下がってしまっただろう。うーん、なんとか挽回しないと……そうこうしているうちに先頭車両についてしまったみたいで、なにも見なかったペッシさんと惜しくも見失った兄貴で衝突していた。衝突というよりなんというか、なんだかこっちまで説教されている気分になってくる。




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